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 そういえば、後輩君の名前を聞いてないような…。名前書いてって言った手前、聞きづらいなぁ…。そんな風に思いながらもじもじして居たら、智一が「気持ち悪いな…急になんだよ?」と聞いてきた。

 「後輩君に名前聞いてないなって…。」

 「僕ですか?!僕の名前は縁結(えにしゆう)です!」

 「すっごい…縁起が良さそうな名前だね?」

 「良く言われます!見た目の所為でからかわれることが多いんですけど…。」

 俺は結君の手をがっちり取る。仲間だったのか…!だから怖くなりたかったんだね!納得した~!でもね、俺は別に普通にしていて怖がられてるだけだから教えてあげられる事は何もないんだよ?

 「やっぱり男が好きなんだな?」

 「違うけど?容姿でとやかく言われる仲間を見つけたんだ」

 「それは…どうなの?」

 「今まではこの痛みを共有できる人が居なくてさ…。」

 「そうだろうな?笑夢に何か言われただけで傷つくガラスのハートだしな?」

 「智一…うるさい!」

 「はいはい、ネタ切れじゃねぇか。」

 今でこそ笑いに転換できるし、クラスメイトにもなじんでもらえるようになったけど。待てよ?でも俺に笑夢が居るように、結君には美香が居る。解決できるんじゃないか?

 「わたくしにお任せくださいまし」

 「ですよね。」

 「なんで…俺じゃないの?」

 智一は涙を流している。相当悔しかったんだろう。俺の友達なのに…天使に好かれないって何だろうね?順番に行けばルトか智一なのに。

 「順番に行けば俺じゃないのか!」

 「なんで順番?」

 「肇には何か俺らとは違う気配を感じるから!」

 なんだと?!鋭いな…。そういうのを女の子に向けてあげればモテるんじゃないか?ただ…智一の動きっていまいち分からないんだよね。モテたいようでモテたくないみたいな?

 誰かが手を“パン”と叩く。急に大きな音がして、静まり返る。音の方を見ると、笑夢が笑顔で「歓迎会しますか?」と言った。

 「いいね!肇の家でやるか!」

 「うちも歓迎会したい!」

 皆本当にノリが良くて助かるな。何かをやるときはパスって言葉が出なくてすごく居心地がいい。

 「私が料理を作りますので、何か飲み物とか用意していただければ」

 「じゃあ、近所のスーパーに買いに行こうか」

 「僕のために…ありがとうございます!」

 「後輩君…いじったこと忘れてないぞ?」

 「やめてくださいます?」

 「なんでよ?!別に何もしてないだろ?!」

 「する雰囲気出てたよ?」

 笑いあいながら皆で教室を後にする。笑夢は急に手を叩いて「家に何もありませんね、皆さんで一緒に買い物に行きますか」と言った。

 帰り道にあるスーパーに寄ると、店員がすごい勢いで挨拶をしてくる。うん?何で?何かしたかな…。思い当たる節はあるにはあるけれど…俺は笑夢じゃないし。

 「何このスーパー、すごい気迫で怖いんだけど?」

 「う~ん…いつもこうだからね?」

 「私達のおかげで活性化したからでしょうか?」

 「は?何やったの?」

 「それは…秘密です」

 「なんか…ずるいって!!」

 智一は駄々をこねながら、スーパーの中を物色する。平日なのにすごい賑わいだな…。これって普通にスーパー自体が活気づいたからなのかな?

 「そうみたいですよ?それとは別に…いえなんでもないです。」

 「もしかして…笑夢目当ての人も来るかな?」

 笑夢は目をぱちくりさせて驚いている。どうして分かったのか、と言いたげな表情だ。分かるよ、もう、一年も笑夢と一緒に居るんだから。笑夢しか、見ていないんだから。

 「恥ずかしい事思わないでくださいよ…。」

 小声で言われる。それでも満更でもなさそうにしている。こういう時はいっぱい思っておいた方がいい時だ。

 「分析とか困ります…恥ずかしいので。」

 「うち…邪魔かな?」

 「うわぁ?!」

 「うちも飲み物見てくるね?」

 居たんだ…。危ないよ。心が読めるっていう事がバレるじゃない。ふぅ…ルトももしかして超能力者か?気配を消すのがうますぎるな…。

 「ふふ、そんなこともないですよ?私が気を配っているので大丈夫です」

 「本当に…?」

 「はい、バレても結局何にもなりません。多分…作り物か何かだと思われるでしょうね」

 「そっか…それならいいかもしれない。」

 色々買い物を済ませて、皆で自宅に行く。今日は気配がしないから、大丈夫そうだ。神が見えたらたまったもんじゃない。まぁ…あの姿なら百歩譲って大丈夫かな?

 結君は何故かおどおどしている。どうしたんだろう?智一とルトはすたすたと上がっていくのに。美香に手を引かれて入ってくる。なんだろう…小動物を見ている気分だ。

 「もしかして、友達の家に上がるのが初めて?」

 「はい…僕昔からあんまり好かれなくて…女の子の友達の方が多いんです」

 「やめておきな…それ言ったら智一が発狂してしまう…。」

 「もう…遅い!!むきぃいいいいい」

 急に後ろから来た智一が俺らに向かって少しだけ抑えた発狂を見せる。まだ配慮している所を見るに…理性は保てているようだ。

 「こいつはこういう動物なんだ…許してね」

 「はい!智一という動物なんですね!」

 「やめろ!!変な事を教えるな!!」

 「言われても仕方ないんじゃないですの?」

 「そう…か…。俺には発言権はないんだ…ぐすん。」

 「いや、発言して。面白いから」

 「肇!!お前だけだ…俺の事をこんなに考えてくれるのは!」

 そうでもないでしょ?こんなに面白いんだから…皆知ってると思うよ?

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