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 騒動は沈静化した。本当に数分の出来事だったけど。噂はまだどうなっているか分からない。放課後まで待つしかないか。

「申し訳ございませんわ…わたくしの所為ですわ…」

「いや…気にしないで」

「いや、気にしてください。これは今後に関わる大事な事ですよ?」

「何に関わるの?」

 笑夢はこっそり耳打ちで「神になるために」と教えてくれた。なんだろう?人を率いる資質とかなのかな?分かんないけど…。

「はい…肝に銘じますわ」

「よろしい、では授業を受けに行きましょう」

「本当に…朝から疲れたよ。」

「そうですね、ああいった事が起こらないようにしなければ」

「そんなに起こりそうかな?」

「そうですね…流石にないですね」

 頻繁に起こってたまるか!とは思うけど。いやぁ…ファンクラブって怖い。だってさ?発足一日にしてこの団結力でしょ?さらに噂まで広める企て…もう見事としか言いようがないよ。

「何相手をほめているんですか?」

「あ、笑夢も凄かったよ?」

「そういうわけではないです…けど」

「怒ってくれたのは嬉しかったな。」

 最初は俺を利用するために近づいてきたんだ、そう思っていた。でも、笑夢と近くで過ごしているうちに…段々俺の考えも変わってきた。本当に好きだから居てくれるんだ、って。

「そう言ったじゃないですか?」

「いやね?好意を向けられたのは初めてだし、事情が事情だからね?」

「そういうものですか?」

「うん、だって突拍子もないし、ありえないと思ってたから」

 天使なんて居ない、神なんて居ない、悪魔も霊も。何も居ない、ただ生きている者だけが存在する世界だと思っていたから。

「イチャイチャを見せつけて楽しんでいますの?」

「いえ?そういうわけではないですよ?」

「二人から好意の波動を感じますの。本当に…許せませんわ!!」

「え、え?そんなの出るの?」

「私は分かりませんけど…?」

「わたくしは分かりますの!」

 美香は悔しがっている。なんだろう…人間っぽい。すごい人間っぽい。笑夢は結構人間みたいな感じはなかったけど。

「これが上位か下位かの違いですね」

「わたくしを説明材料にしないでいただけます?」

「なるほど…天使って人間っぽいね?」

「わたくしは感情が豊かなだけですの!」

 三人でクラスに入る。席に座り普通に授業を受けて、放課後になる。何やら噂は沈静化しているようだった。主犯たちが皆に嘘だ、と言ったようだ。

「この学校…何人いると思ってるの?」

「はい?何ですか、急に。」

「一学年1000人ぐらいでしょ?そんなに早く噂が沈静化できる?」

「それはわたくし達も協力しましたので」

 二人の協力があったのか!…一日ですごい速度で広まった噂を回収したの?とんでもないね。

「肇さんを助けたいが故の行動でしたけどね?」

「本当にありがとう」

「いえいえ」

「何か…してほしい事はある?」

「してほしい事…ですか?」

「うん、何か出来たらいいなって思うんだけど…?」

「わたくしは大丈夫ですわ。元はと言えばわたくしの所為ですから」

「私は…帰ったら言いますね?」

「何か不埒な好意をさせようとしていますわね?」

「そんなわけないでしょう!」

「笑夢に限って…まさかね?」

「ありえませんよ…別に?」

 何か…不穏な間があったけど?気のせいだよね?うん。そう思っておこう。大体、天使だからね?真っ白だから。

「しませんって!行きますよ!」

 笑夢は恥ずかしそうにずかずかと前を歩いていく。そういう行動が…怪しいんだけど。まぁ、ないよね!笑夢に限ってそんなことは!

 部室を開けるとルトは目を見開いて俺を見る。え…?またなんか噂が広がってるのか…?何?

「なんかね!うちね、聞いたの!“おしゃれなんだって?!”」

「そっちは消えてないのかい!!」

「うん?どういう事?うち、ファッション教えてほしくて…」

 知らない知らない!!女性のファッションなんて!俺自身があんまりおしゃれとか気にしないのに!分からないって!!笑夢…助けて。

「その話は置いておきましょう。根も葉もない噂です」

「それはそれで…悲しい」

「フォローじゃないですか!」

「分かってるんだけど…ね」

「夫婦漫才は後にしてくださいまし?」

「してないって!」「してないですよ!」

「やっぱり…男性が好きなの?」

「違うって!そんなに強く否定するのもあれだけど!」

「うちは別に何も思わないよ?」

「そう…なんだね?って別に恋愛対象は女性だから!」

「あら?笑夢さんは男性でしてよ?」

「うん、そうなんだけど、そうじゃない!」

「ややこしくしないでもらえますか?」

「あら、失礼いたしましたわ」

 おほほほと甲高い声で笑う美香。本当に…何かの小説とかに影響されてないだろうね?元々そういう笑い方なのかな?

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