(7)
二人以上…?望んでない。聞いてない。分からない。一人でいいのに。こんな俺に何故惚れる?どうすればいい?分からない。
「分かりやすく頭を抱えておるな」
「そりゃそうでしょ…。一人だけでいいのに。」
「ははは!英雄気質ではなかったようだな?」
「そんなんは良いから。どうにかしてよ?」
「無理だ!」
「神はそんなこと言わないと思うんだけどな~。」
「何ならここに送り込もうと思っていたぞ?」
「本当に、ごめんなさい。勘弁してください。」
神に向かって土下座する。神は「よいよい!」と言っているけど?違うよ?ちゃんと送り込まないという返事をしてほしかっただけだよ?
「大丈夫だ、送ることはない!さて…どうしたものか。」
「送らない判断は出来ない?」
「この世界に送ることは決定しておる。なんなら…いや、サプライズにしよう」
「……?絶対何か企んでるでしょ?」
「そうかぁ?企んでおらぬぞ?面白くなりそうじゃ」
企んでるじゃん。にやにやしながらぶつぶつ言ってる。これ、企んでる人の定番だから。ちょっと…早急に何とかしないと…どうしよう。そうだ、笑夢とデートして…記憶が操作される前に少しでも思い出を…。
「じゃあ…行きますか?正直、そんな荒業使ってくるとは思いませんけど」
「行こう!現実逃避で…この神は多分神じゃない」
「失礼だな小僧!これでもしっかり神だぞ?」
「いやぁ…人が困る事を試練とかいうタイプでしょ?」
「困難が無いと乗り越えようともせんだろう?」
「一理あるな…くそぅ…」
「ははは!討論で勝つなど一億年、いや百億年早いわ!」
神に言われたらその通りなんだわ。どうするんだ…。とりあえず、何が起きるか分からないけど…断るのを前提に考えよう。荒業を使われそうになれば笑夢に助けてもらう。これが一番いい選択だ。
「私は帰る!面白くなってきたからな!」
「う~ん…困るんだけど。」
「何、大丈夫だ。小僧、お前なら乗り越えられるだろう」
豪快に笑いながら帰っていく。うわぁ…神よ…何故神を超える存在を作らなかったのですか?俺の様子に笑夢はクスクスと笑っている。
「何さ?笑夢にも直接関係があるんだよ?」
「いえ…今度こちらに来る天使は大丈夫ですよ、それに私の事を真面目に悩んでくれるのは…嬉しいです」
「そういうもんなの?」
「はい!」
笑夢は良い笑顔をしている。天使も…人間みたいな心はあるんだな。悪い意味じゃなくて。もっと機械的に人間の事を見ていて…心もなくて。そんな存在だと思っていたよ。
「そんなことはありません!天使はかなり恋愛体質ですので」
「そうなの?!やっぱり…惚れやすいの?」
「惚れやすいわけではないですけど…極度な優しさと思いやりが強い人間は人気ですね!」
「あのさ…神隠しって…」
「ああ、あれは気に入った人間を天界に連れて行く現象の事ですね!逆に悪魔の根城に連れて行かれる場合もありますよ?」
そうですか…。とりあえず…何処に行こうか。今夏だよ、外って…気温高いよね?う~ん…海は行っちゃったしな。水族館…とか?俺の貧困な思考ではデート先が…見つからん!
「動物園は…忘れちゃいましたか?」
笑夢が悲しそうな顔で見つめてくる。あ!完全に忘れていた!でも…今…動物って大丈夫なの?
「大丈夫だと思いますよ!行ってみましょう!」
ノリノリで可愛いな。行くか~!近くの動物園は…?え、なんか大きい動物園が今日オープンしてる!すごい…仕組まれたようだ!!神か?ありがとう!
「何もされていないと思いますけど…敬うのは良い傾向ですね!」
「うん?感謝はいつでもしないと。」
「そうですね!良い事です!」
徒歩で10分程歩いた場所に、すごい大きな動物園が姿を現した。一日じゃ回り切れないかもしれない程だ。チケットを買って、ゲートを通る。中は綺麗に整備されていて、種類別に区画整理されていた。
鳥類、爬虫類、哺乳類、両生類…すごいな。笑夢が犬猫を好きなのは知ってるんだけど…他には何が好きなのかな?ていうか、動物ってカエルとかも好きなのか?
「ええ、好きですよ!ヤドクガエルとか特に!」
「それ、超猛毒じゃなかった?」
「いえ、実際に危険なのは、フキヤガエル族ですね?ココエフキヤガエル、アシグロフキヤガエル、モウドクフキヤガエルです。ただ、触らない方がいいのは事実ですよ?」
ヤドクガエルの展示コーナーを前に説明をしてくれる。光景が相まってあんまり天使には見えないな…。だってさ?分かってよ、カラフルな毒を持ったカエルの前で毒の説明する人間…信用できる?
「良いのですよ、カラフルな所が好きなだけですから!」
「確かに…色がすごい綺麗だよね?」
「はい!後、見た目も可愛いじゃないですか?」
「うん、小さいし。アマガエルみたいだよね」
見れば見る程可愛いかもしれない。カエルって注目したことなかったなぁ…。




