(7)
翌週の週末、テストは目前で二日前まで迫っていた。皆のおかげもあって、勉強はすこぶる順調だ。今日もまた集まる予定だ。
「笑夢はどっちの姿で居るの?」
隣でご飯を食べる笑夢に話しかける。女性の姿で居ると弁明も面倒だし、きっと男性の姿で居るだろう。
「男性の姿が一番いいですかね?」
「そうだよね」
「なんです?女性の姿で居て欲しかったですか?」
「そうじゃなくて…なんていうの?どう説明するか悩むからさ」
「そうですか?肇さんは親戚と言うカードを出そうとしていたのでは?」
「なんで知ってるの?」
「思考が私のもとに飛んできますからね?」
えぇ…一定の距離離れていれば聞こえないとかないのか。なんだそのトンデモ能力…ちょっと待てよ?俺の思考が飛んで行ったって事は…。
「そこまで明確に飛んでくるわけではないです。なんとなくボヤっと…ですかね?」
「そっか。」
別にやましい事を考えていたりしたわけじゃないからいいんだけどね。今日も勉強頑張るか。
笑夢と二人で家を出て、駅まで迎えに行く。駅には既に二人が居て、何やら楽しそうに次話し込んでいた。
「ごめん、お待たせ」
「別に待ってないぞ?」
「そうだよね」
「何を楽しそうに話していたの?」
「いやな?ルトには教える才能があるんじゃないか?ってさ!」
「うちは別にそうは思ってないんだけど…。」
そうか、確かに言われてみれば。教え方もうまいし、何やらテストのコツみたいなものを掴んでいて、範囲とかも分かっていそうな感じがするし。
「行こうぜ!今日も暑いわ…」
まだ午前中なのに、確かに暑い。最近気温の上がり方が以上な気がするな。今年の夏はきっと…気温が高いんだろうな。
家に着いて、また机に向かう。笑夢は勉強をせず、何故か皆を眺めている。余裕だな?足元を救われるぞ?ありえないか。
笑夢がキッチンに行って何やら作り始める。もう…昼?早くない?二人の様子を見ると、二人は笑夢を見つめていた。
「お昼は何にしましょうか?」
「え?作ってくれるのか?!何?肇専属シェフ?」
「うちはなんでもいいよ!」
「俺はだな…中華がいいな」
「では…チンジャオロースで行きましょうか」
20分程で料理を終えて、笑夢がこちらに料理を運んでくる。いつもながら…完璧な仕上がりだ。
「こ、これは…」
「いつもながら完璧だね!」
「はい、ありがとうございます!」
「お前…こんなのいつも食ってるのか?!」
智一は目を見開いて俺を凝視している。智一…お前だって毎日母さんの手作り料理食べるんだろ?!いいじゃないか、俺だって…食べたいんだ!手作りが!
「じゃあ、いただきます。」
皆で頭を下げて食べ始める。ピーマンとタケノコのシャキシャキの触感、程よく味が付いた豚肉。最高だ。
「な?!美味すぎる!」
「こんなにシャキシャキにできるものなの?!」
皆でご飯を堪能して、勉強をもうひと踏ん張りして、テスト当日を迎えた。
「やれることはやった。後は…天に祈るのみ!」
「大丈夫ですよ、ちゃんと勉強してましたからね!」
笑夢に励まされながら登校する。まぁ、受験とかの大きな試験ではないから、問題はないけど。と言うか、夏休みが減るだけだけど…待ってくれ。それは嫌だっ!!
「ふふ、乗りツッコみできるだけの元気はあるみたいですね!」
「そうかも?緊張してないと言えば嘘になるけど…」
「とりあえず頑張りましょうか?」
「そうだね」
クラスについて着席する。担任が入ってきて、事前説明をする。そうしてテストが始まり…一日目は終了した。
「なぁ?どうだった?」
「何が?」
「とぼけるなよ、テストに決まってるだろ!」
笑夢と智一と部室に向かう途中、智一が口を開く。手ごたえはあったんだけどね。実際どうなってるのか分からない。自己採点してるわけでもないし。
「分からないけど、多分大丈夫かな?」
「そ、そうか…」
「智一は?」
「だ、大丈夫…だ?」
「どうしました?そんなに難しい問題でも出ましたか?」
「同じテスト受けたじゃん?!難しくなかったか?!」
「う~ん…別に授業を受けていれば大丈夫じゃないですか?」
「出た!!!天才タイプだ!はっ…そういえば勉強してるところを見た事もないぞ?」
智一は後ずさりしながら笑夢を見つめ続ける。笑夢は微笑んで歩き続ける。なんか、脅してるみたいな感じがするよ…。
部室に着くと、相変わらずルトが一番早く来ていた。早すぎない?毎回思うけど…これでも終わってすぐに歩いてきてるよ?
「クラスの順番的に、一番部室に近いですからね」
「そっか、それにしても早いと思うんだよね?」
「う~ん…ホームルームは担任によって速さも変わるしな?」
なるほど、そういうものなのね。他のクラスの人と交流したことなかったし、分からなかったなぁ…。




