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 帰りを待ち続けて二日、三日…と徐々に時間が経っていく。天使が俺の前に現れたのは幻覚だったのかもしれない、そう思い始めた。ただ、友達ができた事実もあるし、記憶にも残っているからおかしな話だ。

 誰も居ない家に帰って、一人でご飯を食べる。何をするにも一人。何、前の生活に戻るだけだから。そんな軽い気持ちだったのに。どうして胸にぽっかりと穴が開いたような気がするんだろう。

 前とは違って、学校に居る時が唯一の救いだ。少しだけ、家に帰りたくなくなってきた。

「はぁ…。」

「お前、ここの所溜息ばかりついてるな?幸せ逃げるぞ?」

「幸せなんてとっくに逃げたかもしれないよ」

「……何があったんだよ?」

「まぁ…ちょっとね?」

「さては…笑夢が来ないのが寂しいんだな?」

「そうだね」

 智一は口をあんぐり開けて驚いている様子。ん?何かおかしなことを言ったかな?寂しいのは確かなんだよ…何か言葉で言い表せない感じがするんだ…。

「俺らが居るじゃない?」

「うん?本当にありがとう」

「う~ん…なんか違う気がするんだけど?」

「そう?本当に嬉しいけどね?」

 友達はあくまで友達であって…じゃあ笑夢の存在は何だろう?家族…?それとも…恋人?そもそも同棲状態になってる事自体が俺をおかしくしているのか?

 デートの約束だってしているし、帰ってこないはずはない…と思うんだけどなぁ…。

「すぐ帰ってくるだろ?何してるか知らんけど。」

「だといいんだけどね?」

「なんだよ、今生の別れみたいな言い方してさ?」

 うわぁ…考えたくないな。そんな事。もし…もしだよ?笑夢が居なくなったら…。きっとこんな生活をずっとして、終わるんだろう。

「うわぁぁ…イヤになってきた。」

「怖い怖い!!そんな肇を見たくないって!」

 智一に引かれてしまった。しょうがないじゃない。家に人が居るの嬉しかったんだから。両親不在で結構長い事一人だったしさ、友達いなかったしさ、一人ボッチだったじゃん?あれ…これって依存?!

「まずいまずい…ちゃんとしなきゃ!」

 自分の両頬を叩く。智一は可哀そうなものを見る目でこちらを見つめている。

「なんか…まずい宗教にでも入った?」

「入ってないけど?」

「壺買わされた?」

「それ、智一じゃない?」

「俺は買ってねぇよ!!」

「俺‘は‘?」

「揚げ足を取るなよ…誰も!」

 二人で笑いあって部室に移動する。最近もう、気づけば授業が終わってて…非常にまずいと思う。テスト出来なかったら…赤点?という事は…補習?ありゃ…?

 部室のドアを開けて二人で入る。三人が揃った。

「ねぇ?テスト…大丈夫そう?」

「なるようになるだろ?」

「うちは予習してるから…大丈夫かな?」

 二人とも…もしかして優秀なの?この部活、俺以外優秀なの?!俺も頑張ってはいたけど…上位には入れない程度だったんだよ?

「もしかして…肇?」

「うん、今回…授業全く聞けてない。」

「うわぁ…やらかしてるな?赤点取ると補習でみっちりだぞ?」

「みっちり…?それ、まずくない?」

「そうだぞ?俺の友達が言ってた」

 俺らと居るところしか見てなかったから知らなかったけど、智一って…友達多いの?!まじか~…それは凄い事だ。

「うちが教えようか?」

「え?!本当に?」

「うん、全教科行けると思うけど…」

「うわぁ!すごい助かる!」

「三人で勉強会するか!」

「え?それって…勉強やらない宣言?」

「違うって!!今回のテスト、俺も何とかなるけど、上位に入れば小遣いが上がるんだ!」

 そうか、ここに集まってるって事は、バイトしてないのか。俺もしてないんだけど…

「どこで勉強会するんだ?図書館とか?」

「別に家でもいいよ?」

「いいの?」

 今誰も居ないし。そもそも、居たって多分大丈夫。友達連れて行ったら手厚い歓迎があるだけだから。今はないけど。

「うん、家は誰も居ないからね」

「じゃあ、皆で行こう!」

「平日はここでいいとして…土日がいいかな?」

 え?待って?そんなにやる?!聞いてないって!毎日補習みたいな感じか…でも夏休みに補習よりはいいな。テストも近いし。テストは…二週間後か。二週間みっちりやれば、いけるかな?

「分かった、何時に来ても大丈夫だよ」

「朝から行くか?」

「それがいいかも?うち、帰りが遅いと心配かけちゃうから」

 ルトは女の子だからね。暗い時間まで居るのは流石に心配だよね。朝からやるとして…時間的には18時頃解散かな?

「10時頃集まって、18時頃解散がいいかな?」

「うん、そうしよう!」

「えっと、どこで集合しようか?学校の最寄り駅でいい?」

「賛成!」

 よし、頑張って勉強会を成功させよう。計画がすべて台無しになったら…流石に目も当てられないからね。

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