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(2)

 翌日の朝、もう既に影響が出始めていた。食べるものが…ない。それだけで笑夢の存在が有難いものだったと実感した。食パンを加えて登校する。お弁当も作ってくれていたから…ない。

 もしかして…俺ってダメ人間だったんじゃないだろうか。生活力皆無で…というか、笑夢が来る前ってどんな生活してたっけ?あ、洗濯したっけ?もう…駄目だ…。

 教室に入り着席する。智一がこっちに来て心配そうな顔をしている。

「おい?!どうした?!」

「全然大丈夫…だよ?」

「見えないって!いつもの姿はどこにやったんだ?!」

「はは…家に置いてきた」

「宝物みたいに言うなよ?」

「あれは…今思えば宝物だったんだ。」

「こ、壊れた?!」

 智一…ありがとう。心配してくれる友人が居るだけで大分気分が違うな。智一はあたりを見回して首を傾げる。

「ん?笑夢はどうした?」

「今日から数日…休みだよ?」

「そ、そうか。あいつは優等生だから大丈夫だろうけど…何かあったのか?」

 何かあったんだろうね。俺にも何も言わずに行ったよ?ちょっと用事があったって言ってただけだったよ?

「用事があるんだって」

「へぇ…なんだろうな?」

「さぁ…?何も聞いてないから」

「え?仲いい肇にも…か?」

「うん?なんで?」

「普通いうんじゃないか?」

 普通言うのか…?聞いちゃいけないと思ってたし、聞かなかったけど。まぁ、普通って人間にしか適応されなくない?天使に普通はないのでは…なんなら天使の普通とか、心の読みあい、超能力の応酬…すごい事になりそう。

「それで肇は朝から元気がないんだな?」

「う~ん…栄養の偏りじゃない?」

「???何を言ってる?」

「ああ、こっちの事だから気にしないで…」

 本当に、今日からどうやって生活しようかな。とりあえず…買い物に行って…行って…どうする?出来合いの物を買おう。

 昼休みになり、購買に向かう。激戦区…という言葉が正しいのか?とんでもない人の数で埋め尽くされている。正直、前が見えないし、帰りたい。とりあえずかき分けて行き、パンを数個買って教室に帰る。

「ふぅ…」

「弁当どうした?」

「あれは…古に伝わりし幻術だよ?」

「なん…だと?!」

 クラスの数人が俺らのやり取りを聞いてクスクス笑っている。いやね、俺にとっても死活問題なんだよ?本当に幻術だよ…。パンを開けて食べる。もさもさしていて食べづらい。

「何?肇…お前パン食べた事ないの?」

「な、なんで?」

「草食動物みたいに食べるじゃん?もさもさしてるとか思ってる?」

「え?!なんで…さては心が読めるのか?」

「んなわけないだろ?顔が物語ってるぞ」

 しょうがないよ、笑夢が来てからパンなんてほぼ食べてないし。食べる時は、クルトンになってるか、スープとかシチューとかにつけて食べるかしかしてなかった。

「うん、もさもさしてて食べづらい」

「そういうもんだろ?」

「え?シチューとか、スープとか、クルトンとかあるじゃん?用途が」

「お前…貴族か何か?」

 わぁ…贅沢してたんだ。感謝は募るけど、伝えられないや。でも、今日帰ってくると思うんだ?多分だけど…。帰ってくるよね?そのままさよならなんて事は…。

 放課後になって部活に足を運ぶ。何か落ち着かなくてそわそわする。笑夢が居ないだけでこんなに影響が出るなんて。

「どうしたの?うちが相談に乗ろうか?」

 ルトが話しかけてきてくれる。相談に乗れる人は一人しかいないんだ…。ごめんね。

「ありがとう、大丈夫だよ」

「今日な、肇の様子がおかしいんだよ」

「ね?なんかそわそわしているように見えるよ?」

「そうかな?」

 何でこんなに的確に心情を読んでくる?!もしかして…本当に俺って、顔に出やすいのか?首を傾げていると、智一は頷いた。

「そうなのか…。」

「なんか、最近肇の事可愛く思えてきた」

「ごめん…俺は女性が好き」

「違う!!そう意味じゃないだろ?!」

「え、うちは応援するよ?」

「ちょっ?!ルトさん?!」

 智一の狼狽えている姿はちょっと面白かった。二人のおかげで少しだけ気分が和らいだ。

「そういえば、合宿の話したらいいってよ!」

「うちも!良いって言われたよ!」

「早くない?俺まだ確認取ってすらいないや…。」

「いやな、楽しみでしょうがないんだ…」

「水着の女性が?」

「最低…うち、怖くなってきた」

「なんで俺の株が勝手に下がっていくんだよ?!俺何も言ってないじゃん!!」

 ははは、確かに。何も言ってない。顔も別に…スケベな顔をしているわけでもなかった。海の楽しみって何だろう?皆で行ける事の楽しさとかかな?

「なんか修学旅行みたいで良くない?」

「俺さ…行ったことないよ…」

「うちも…」

「……え?なんで?」

「俺…顔が怖がられてたから諦めた」

「うちは…友達が居なかった」

 急に皆、黙り込む。智一の表情は少しだけ暗くなる。「なんかごめん」という声が聞こえた。

「なら、今回は楽しめるじゃん?」

「まぁ、そうだね?」

「結果オーライだ!俺が楽しみを教えてあげよう!」

「枕投げ?」

「なんで…そのことを…。」

 智一はがっくりと肩を落とす。定番なんだよね…。全然楽しそうだからいいんだけどね。どういう感じで投げるんだろうな。

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