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戦国時代に転移した話  作者: べりある
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いざ戦国時代へ 6

 情報担当以外にもそれぞれの担当者を決めて、さっそく翌日から作業を開始することになった。

 朝起きると既に生活環境を担当する部隊が朝食を作り終えていた。社や別当寺、各作業場や畑や住居などが出来るまで炊事洗濯などは専門部隊がやることになってる。

 この部隊の責任者は琥珀(こはく)翡翠(ひすい)の兄妹だ。一通りの建設が終わり皆が各作業に分かれていくようになると、この二人は執事とメイド長のような役割となる。この時代では家宰と女中頭いうのが正しいのかな。

 BUSHIには料理人プレイや杜氏プレイとかは特になかったけれど、それなりに料理は再現されていたし調味料の生産や交易なども可能だった。

 とは言っても初期設定で持ち込めた調味料は塩と味噌程度。食材も含め今は商家を興す段階ではないので周辺から調達するのも琥珀たちの部隊に任せている。ちなみに炎は狩猟班として琥珀の部隊に配属されている。彼女の軍事的才能はまだ当分出番がないらしい。

 ともあれここはもうゲームの中じゃなくで現実世界だ。色々な獣や山菜、野草などを採取しても味付けが同じなのは少し寂しいものがある。この時代だとそれが普通かもしれないけれどね。ただ空腹ゲージを満たせれば良いわけじゃないし栄養バランスもある。贅沢と言われようとも食生活の向上と改善は急務なのだ。

 NPCから受肉したばかりの彼らにそれを伝えるのは少し大変だったけれど、琥珀の性格設定を俺個人に忠義が向くように設定してあったからか、そこに意欲を感じてくれたようで一安心したところだ。

 それにそういった要望は今後の交易や生産の計画に必要なので俺の我儘というわけではない。だから翡翠、そんな目で俺を見ないで欲しい。

「とまあそんな冗談は置いといて、夜叉丸さんは買い付けを兼ねた近辺の資源調査をお願いしますね。」

 と翡翠が俺から夜叉丸に向き直って話を続ける。

「そのまま夜叉丸には商家を興してもらう流れになるだろうからね。諜報もだし、海外との交易なんかも将来必要だからね。」

俺も翡翠に続けて夜叉丸に指示を伝える。

 夜叉丸は恰幅の良いいかにも商家らしい容姿の青年だが、本来は忍者タイプで作成した武将だ。商家らしい忍者であって武将ではないけれどゲームの設定が武将なのでややこしい。ともあれ忍者プレイの際に作成した武将なので名前が忍者っぽい。

「そうだ、商家になるなら名前も変えないとね。そうだな、屋号は郷谷屋、名は十兵衛とでも名乗ってもらおうかな。」

名前を考えるのに一晩かかってしまうこともある俺にしてはすんなりと思いついた。

「承知いたしました。以後は郷谷屋十兵衛と名乗るようにいたします。」

夜叉丸はその名前に特に不満はなさそうだ。偽名とはいえずっと使い続ける名前だからね。不満はないに越したことはない。

「郷谷はこの地に流れる川なので分かりますけれど、十兵衛はどこからでしょうか。今回はすぐに思いついたみたいですけれど。」

翡翠がそう疑問を口にする。過去のプレイで翡翠の目の前で新規作成武将の名前で何時間も苦戦していたからね、それを覚えてるんだろう。桜もそうだけど、翡翠もずっと俺のそばにいてくれた一人だ。当然新規武将作成時の時だけじゃなく色々な場面の時も。なぜか受肉してツン属性を得た翡翠だけれどそれを覚えていてくれているらしい。

「加賀の商人と言えば、銭屋五兵衛という人物がいてね。代々加賀藩の御用商人を務めてる一族が五兵衛を名乗るんだけれど、夜叉丸には商家としても倍以上働いて貰いたいからね。なので五の倍の十ってこと。」

「それは責任重大ですね。番頭に付けていただいた六兵衛とともに期待に応えるよう鋭意務めたいと思います。」

本当に名前の夜叉とは似ても似つかぬ温和な人格なんだよね、夜叉丸って。そういう設定にしたのは自分なんだけども。

 話を終えて任務に向かう夜叉丸を見送りながら、

「ということはまさか六兵衛さんも銭屋五兵衛より働けという由来なんですか。」

安易な、という言葉が続きそうな表情でこちらを振り向く翡翠である。

「いやそれはたまたまというか偶然というか。真護寺と織津の家紋が六芒星だったからそこからだよ。夕方から翌朝まで悩んで思いついたのがそれだったわけで。」

それで納得したのか分からないけれど冷めた目で返事をして食事の後片付けに立つ翡翠。

 そんな翡翠を見送る俺。

 一連のやり取りを温かく見守っていた琥珀は、翡翠が十分に離れたのを見計らって真面目な顔で俺に向かって頭を下げた。

「崇弘様、落ち着いてからで結構ですので、翡翠をどうか側室に迎えてくださいますようお願いいたします。」


禍津琥珀 まがつこはく

禍津一族。家宰。炎とは従兄で分家にあたる。琥珀の家は禍津北家(まがつほっけ)と称する。新規作成武将が増えた頃、それらを纏めるために作成。タイプは万能型。どの能力も最高値ではないが万遍無く平均値より成長している。料理と剣術、弓術能力がそこそこ高い。その役割を続けてきたので崇弘と琥珀本人を含む250人の事をすべて把握している。人事について考えるときは琥珀の存在は欠かせない。


禍津翡翠 まがつひすい

禍津一族。女中頭。琥珀の妹。琥珀より先、最初期に作成されている一人でもある。兎も角戦うメイドに憧れた主人公が剣豪タイプとして作成され、護衛兼女中として最初期から主人公に仕えてきた。私的空間の護衛がメインだったため、短刀術や体術が剣術よりも高く育っている。初期からしているので料理スキルはカンスト。その他能力は平均値。作成時、温和な性格設定にしたはずが受肉後は何故かツン属性。


禍津夜叉丸 まがつやしゃまる

禍津一族。禍津西家(まがつせいけ)。忍者タイプとして作成。忍者プレイ時に商家へ潜入させた武将。経済や財務能力も高いが諜報能力が最も高い。海賊プレイで艦隊を率いたこともあるので指揮能力や戦闘能力などもそれなりに高い。性格は超温和。ゲーム時はそのままの名前で商家として活動していたが、現実世界に転生後は郷谷屋十兵衛(ごうたにやじゅうべえ)を名乗る。


禍津六兵衛

禍津一族。禍津東家(まがつとうけ)。商人プレイ時に作成。商人タイプではなく政務タイプとして作成。経済や財務能力が最高値近く育っている。真面目で冷静な性格で商人というより官僚のイメージに近い。どのプレイモードでも事務方のトップとして財務を任されていた。軍事的な能力は平均値以下。農業や工業の生産系能力は一通り経験しているが平均値を超えるほどでもない。

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