いざ戦国時代へ 5
更に5人で打ち合わせをした後、幹部クラスも集めなおして具体的な方針を決めた。
まずはこの地に根付くこと。今はテントだけれどここにまずは神社を建設する。周辺の集落には石川郡から流れてきたということにして交流していくことにした。場所は能美郡尾小屋からやや南東にある大倉岳。大倉岳を越えてさらに南東に行くと未来の日本では大日湖というダム湖がある場所になる。まあまだこの時代は集落がいくつかある程度だと思う。そのあたりも含めて調査が必要だ。
ひとまずこの辺りの集落、尾小屋や丸山、波佐羅といった集落には山でとれた猪や熊でもおすそ分けして融和していくことにする。名目は祭事だ。真宗が根付いている土地とはいえ、八百万の神々への恐れがなくなっている訳でもない。懐柔は容易だろう。建てる神社は瀬織津姫神社だ。この神社なら何処にも本社はないし記紀をたどってもよく分からない、勝手に名乗っても後で辻褄が合わないということもないはずだ。
周辺の取り込みを3年程かけながら産業を育成し、同時に可能な限りの情報収集を行う。俺は歴史オタクでもないし、有名な武将やイベントくらいしか覚えていない。配下達作成武将もサーバーやネットとの接続は当然不可能で知識チートは使えない。なので情報収集はかなり重要になってくるというわけだ。
弟達との会議の後に行った幹部会議で情報収集の担当になったのは、忍者プレイの時に作った禍津氷雨。炎の兄だ。身長190センチ体重120キロの巨躯でまるでヘビー級のプロレスラーだ。そのくせ忍者としての能力は高く気配も消せる。当然個人戦闘能力は配下武将の中でも最強の一角だ。猛将タイプや剣豪タイプの配下武将とはまた違った強さでもある。配下の中で誰が強いのかと聞いたら、剣豪タイプで作った更に氷雨の姉の葛葉曰く、ルールや環境で勝敗が変わるらしく、サメと鰐と虎を比べるようなものらしい。ちなみに氷雨は二人と戦うことになるならそうなる前に暗殺するので戦闘にはならないと言ってた。正面から戦っても負けないとは言っていたけれど勝てるとも言わなかった。まあそういうことなんだろう。
情報担当を任せた氷雨には配下武将30人を割り当てた。この30人は忍者タイプばかりじゃないけれど、忍者プレイの時に諜報に役立つ技術を育てた面々だ。ちなみにある程度育成してしまったら飽きてしまって後半は強引なパワープレイで敵対勢力を滅ぼしまくり、無理やり主君に統一させてしまった。全然忍んでないけれど、あれはあれで面白かったな。
「情報収集のついでじゃないけれど、有名武将達を頭角を現す前にスカウトしてくるのはどうかな。子供の間に引き取ってくるとか。」
という戦国転生ものにありがちな提案をしてみた。幹部たちからの回答は
「その機会があれば、という感じで良いかと。環境を変えて育てても有能さを発揮するかは不確定です。それより教育機関を優先しましょう。健康管理や基礎教育を徹底し、論理的な思考が出来る人材を育てるだけでこの時代では十分なアドバンテージになります。」
というつれないものだった。まあそれも戦国転生ものでは定番中の定番だけどね。
そして情報収集次第になるけれど、その後は加賀国支配を目指していくことになる。
行き当たりばったり感はあるけれど今が何年かも分からないし、史実通りの世界なのかも分からないからね。まあ多分無いとは思うけれど、魔法が飛び交い、亜人やモンスターが跋扈してる世界かもしれないのだから。
禍津葛葉 まがつくずは
軍事を司る瀬織津比売神社宮司家である織津の分家、禍津家長女。剣豪タイプで作成。クリア報酬で個人戦闘能力は炎よりも高く剣術はカンストを超えている。他の能力は平均を超えている程度。性格は炎と違って穏やか。明鏡止水の極致。余談だが剣豪プレイはプレイヤースキルに大きく依存する為、主人公は道場運営に徹し、葛葉を支援することで剣豪プレイをクリアしている。
禍津氷雨 まがつひさめ
軍事を司る瀬織津比売神社宮司家である織津の分家、禍津家長男。忍者タイプで作成。個人戦闘能力の中でも体術はカンストを超え、軍指揮系や諜報系はほぼ最高値、建築や鍛冶など生産系はそこそこ高くその他は平均をやや超えている程度。主人公による忍ばないプレイスタイルだったためか、氷雨も当然忍んでいない。最高幹部の一人として他プレイモードでも活躍している。