いざ戦国時代へ 2
「崇弘様、起きてください」
桜の声で目を覚ましてあたりを見回すと、森の中だった。出現ポイントが山中なので当たり前だ。VR世界に入るときに意識を切り替えるため意識を失う所から始まるのだけは何とかならないのかな。と思いながら桜にありがとうと返事をする。背伸びをして頭の覚醒させる。なんか違和感がある。というか違和感がない。前回のプレイよりリアルな世界だ。
「大型アップデートでもあったのかな」
独り言をつぶやく。
「いえ、どうやら現実世界のようです」
「えーと、そういう設定かな」
メタい会話も違和感がある。超級はこういう感じなんだろうか。
「私たちは現実世界のことは情報としてしか知りませんが皆と話し合った結果、そうではないかと結論になりました。もちろんそのような認識になるように設定されているのならば分かりません」
「えっと、どういうことかな」
「私達のサポート機能や設定画面を開くことができません。AIとして情報収集するためのサーバとの連結も切れているようです。そして私たちは完全に人間として受肉しているようです」
「本当だ、ログアウト機能や情報確認するウインドウもない。そういう風に作られたってことでもなさそう」
「はい、いわゆるシミュレーション仮説のような技術が開発されてるなら別ですが、それだとしても、結局私たちにしてみれば現実と同じことですから」
「昔流行った異世界転生かな」
「正確には戦国転生ですね」
桜は冷静だ。俺は混乱するにもまだ実感も情報も何もない。
「なるほど、困ったな」
「あまり困っているように見えませんね」
現実感のある非現実的な現象だ。お互い会話しててなんだかおかしくて笑ってしまう。
こうした反応は確かにAIぽくない。
「ちなみに前回プレイまでのことは覚えてるかな」
「はい、覚えています。私たちがAIだったことも、今はAI的な思考をしていないこともなんとなく自覚しています」
「不思議だね、神様の仕業かな。トラックに轢かれてもないし、チートを貰うプロローグもなかったけど」
「崇弘様の世界そのものがシミュレーション世界でそこで何らかのバグがあった、とかかもしれません」
そんな映画もあったような気がするね。
「いずれにしても確認のしようがないです」
まあ、こんなもんかな。一人で来てたら半狂乱だったのかもしれない。桜がいてよかった。
「ところでみんなは」
あたりを見回す。
「はい、今はここから少し下ったところに少し平らなところがあったのでそこを拓いてテントを設営しています」
「みんないるの」
「はい250名、全員」
よかった。ロストしないように育てたから愛着もあるし、なによりAIとはいえ1年も一緒にいると情も移ってる。家族も友人もいない俺には桜たちしかいなかったからね。
「じゃ、みんなのところに行こう。俺も手伝わないと」
そういうと俺は立ち上がって斜面を下り始めた。
織津桜 おりつさくら
設定は瀬織津比売神社の祭司。
主人公の妻、新規武将一人目。能力値は万能型として作成、全能力値は最高クラス。しいていえば個人戦闘能力だけは育ち切っていないが、それでも一流。