表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代に転移した話  作者: べりある
29/31

「これが葵の真骨頂よ!」

「籠城戦で葵のしていることなんて結局、良く言えば臨機応変、ぶっちゃけると勘と勢いなんですよね。」

と言うのは真護寺家の防衛戦スペシャリストである葵当人の発言だ。

「防衛設備と兵数、物資が最低限揃っているならそこで起きてることはたかが根比べなんです。防衛設備は天籟が、兵数と物資は崇久兄上がやるので、葵は現場で、あの辺弱そうだな思ったところを攻めて、あそこは何か本気だなって所には、向こうより本気でぶつかるだけなんです。」


 葵は戦場でもこんな感じで明るく前向きで、いつも本音で人と向き合っている。だから葵が諦めてない限りは大丈夫なんだろうと思うし、その元気につられて士気も高くなる。

 ゲームでは兵数か士気のどちらかが一定の数値を割ると敗走してしまうけれど、少なくとも葵が指揮を執った籠城戦では士気低下で敗走したことはない。


「戦術的に籠城を担当する場合も要は同じなんですよね。葵がしてることは城を盾に引き付けているだけなんで、普通に外で囮の備えを率いているときより簡単なんですよ。だから根比べに負けるわけがないんです。引き付けてさえいれば、天籟が十面埋伏ならぬ無限ゲリラで萎えさせて、退いたところで炎ちゃんの「げぇ、関羽」作戦で止めですからね。ね?釣り野伏せや啄木鳥より全然簡単でしょう?」

「葵のあえて物事を深く考えない、シンプルに考えてそれ実行できるのは強みだし、要するにメンタルが強いからだろうな。」

「義兄上様、それ褒めてますか?」

「褒めてるよ。ちゃんとね。」

「よかったです。これで心置きなく娯楽開発に付き合えますよね!」

うん、まあ実際それが本音だよね。


「そういえば、宇佐山城防衛戦の時、10名で敵陣突撃したことあったよね、あれどういう意図があったの?」

「あの時ですか?あれは天籟部隊が森可成旗下に参加していたので、浅井朝倉連合は負けるの分かってたんですよ。なので関羽ごっこしてました。いつも炎ちゃんばっかりですからね!」

「関羽ごっこ?」

「はい!『十名、それが全軍だった。』というアレです!」

AIの頃からそんな行動原理だったのか。正直呆れるより感心してしまった。本人としては勝ち確だったとはいえ、あの局面でそんなことが出来るメンタルならそれは確かに士気は減らんだろうな。

「なんというか流石だね。」

「それ、褒めてますか?」

「勿論、褒めてるよ。」

にひひひひ、と嬉しそうに笑う葵。まあ強さの秘密がわかった気がするよ。


 ちなみにいつも空気を読まずに本音で話すように見える葵だけれど、会議や配下が集まる時は俺の事をご当主様と呼ぶし、炎の事も義姉上様と呼ぶ。一人称も私になる。

 なので本人は公と私をTPOによってちゃんと使い分けているとのこと。実際はたまに会議の時にもあやふやになるけどね。

 葵だから許されているところもある。

 真面目な崇景がいてこそと言うのもあるけど、わが神護寺家のマスコットキャラの様になってるのもあるんだろうね。


 そんな葵だからこそ娯楽を広めるには最適だと崇景には言ってあるし、だから今日は心置きなくオセロと麻雀をやってみようか。


 結果。オセロは楽しい。永遠にやれる。麻雀は賭けないと真剣になれない。らしい。


 という事で団子とかとち餅を賭けたとのこと。で、ずっとトントンで来てたのに、最後の半荘でハコってとち餅30個の権利を琥珀に取られた、と。ふむ、レートは点餅1個なのか。それで真剣にやれるのならまあ健全な範囲なのかもね。


 結局深夜遅くまで終わらず、無理やりお開きにして解散させたものの、気が付けば月明かりに浮かぶ、暗黒オーラを纏いて物陰から琥珀をにらむ葵の姿。えっと翡翠、放置してていいのあれ?面白そうだから?まあ怪我だけはしないようにね。


 しばらく麻雀は禁止しようかな。えっと逆効果かも知れないから飽きるまでやらせてみよう?

 ま、桜と蓮が言うならそうしようか。本気で暴走することはないと思うけど一応見ててね。



 という事で真護寺家の娯楽開発は、葵の闇落ちまでが定番という事になって幕を閉じたのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ