末っ子夫婦は対照的だからお似合いなのかもしれない
戦国転生ものの定番と言えば、衛生面の改革だろう。
という事で、こちらも少しづつ始めている。
まずは風呂だ。ここは水は豊富にあるので上水を引き込むことはそう難しくはない。配管には銅もあるし木材もある。
風呂を作ろうと考えたときに、銅なり真鍮なりで浴槽を作って五右衛門風呂のように下から沸かせばいいかと考えたんだけど、251人が入ることを考えると現実的じゃない。住居ですら現状はまだ長屋というより合宿所に近い。
なので浴室と言うにはあまりに大きい、銭湯のような浴場を作ることになったし、お湯は隣で薪を焚いて給湯をすることになった。
まさに昭和の銭湯である。タイルはないし富士山もないのでそこは違うかも知れないけれど。
風呂が出来れば次は石鹸である。
正直、風呂に入るだけなら、石鹸で体を毎日洗うのは実は健康に良くないという説もあるのでどこまで必要かは分からないけれど、集団生活をする以上、炊事班や食事前は徹底させたいし、狩猟や鉱石採掘班にも必要だ。酪農に従事する農家も極力常に清潔にするべきだと思う。
これらの特に汚れてしまう職やその作業をした者たちの為に、比較的小さな浴場も作った。というかこちらの方が先に出来ている。
こちらは鍛冶の炉を使って給湯しているので、基本炉の火を落としてなければいつでも利用可能だ。
人によっては、こちらで身体を丸洗いしてから大浴場でゆったりと風呂を楽しんでいる者もいる。
炎なんかは風呂嫌いなのか汚れはキッチリ落とすけれど、大浴場には行きたくないらしく、犬番の三人娘に無理やり連れられて行く姿をたまに見かける。
まあそういう状況なのでこちらと食堂は石鹸の消費量は多い。白色火薬開発のための研究室は石鹸製作に追われている。
ちなみに交易品としては扱っていない。
交易品にしてるのは酒だ。
うちの勢力は神社を頂点にした宗教勢力なのである。当然神事にはお酒は必要だ。そう強固に主張したのは、容姿をドワーフの様に設定した鉄舟である。きっと中身もドワーフなんだろうな。
という事で生産職の中で酒造りが出来る部下を無理やり杜氏にして酒造りを開始した。清酒は金持ちの寺社に販売して、どぶろくは各集落との交易に使っている。
寺院には販売だけじゃなく寄進にも使っている。まあ寄進すると代わりに何か返礼品を貰えるので販売しているようなものだけれども。実質交易だった朝貢外交みたいなものだ。
酒造りで水が豊富と言えば当然米造りだ。これは戦国時代に来てすぐに始めている。
塩水選、直播ではなく田植えをするための苗づくり、正条植えも勿論するけれど、元々の農地でも谷間の平地でもない山中だ。
区画を作り沢から水を引き込み、灌漑設備はしっかり作ったし、そもそも肥沃ではあるけれど、田んぼにするには石などを除いて土を新たに作る必要もある。堆肥の研究も必要だ。
塩水選だけじゃなく品種改良も進めていく必要があるよね。目指せコシヒカリだ。
研究室、人員足りてるかな。都度補充するより、組織そのものを研究部にして科を分けたり規模を拡大しないといけないかもしれない。
この辺はまた相談しないとね。
医療担当はアルコールも欲しがっているからね。医療と言っても縫合してさらしで圧迫する程度しかできないけれど、だからこそ消毒用にアルコールを欲しがってる。それに調理場には煮沸や石鹸での手洗いだけじゃなくてアルコール消毒もさせたいらしい。
蒸留そのものは研究と言うより生産職の範疇かも知れないけれど、ちゃんと原理と構造を理解する必要もあるし、原型は研究室で作ることになると思う。
現代知識はかなり喜ばれるけど、研究員にとってはそれだけには終わらないので、次に何を言い出すのか恐れているらしい。
ほか、研究の対象ならないものでは、炭焼きも交易品になる。薪も重要な交易品だけど、炭は寺院相手には良い商品だ。
この辺りは竹も多いので良い筍が採れるし、竹炭も作れる。山の整備をするなら竹林の管理も大切だ。
木酢液や竹酢液は研究したいらしく、俺から言い出さなくても結局新しいものは研究したくなってしまうんだろうね。
そうだ研究室長が決まったんだった。
鉄舟が男手を取られることを嫌がったので、研究員は女性から選ばれることになった。研究肌の男たちが数人絶望していたな。近い将来には拡大しなきゃいけないだろうし、おいおい入れるようにしてあげないとね。まあ今はインフラからの建設ラッシュだ。生産職には男手が少しでも必要だからね。それは仕方がない。
ということで研究室長に決まったのは、鉄舟と同じ佐美一族の楓だ。ドワーフと言えばエルフだろ、というノリで、俺が考えるエルフの定番、すらっとしていて感情表現をあまりしない、研究好きで引きこもり気味、という感じで作った子である。
勿論、エルフ風であってエルフではない。『BUSHI』はたまにコラボで人外武将を出すから作れなくはないだろうけど、もし人間以外で作成していたらどうなっていたんだろう。
ゲームでは多少ピーキーなだけで、そこまで全体バランスを壊す程ではなかったけれども。
まあそれですら俺は嫌だったから編集機能で人間に作り替えてたけどね。折角リアル志向なのに世界観が壊れるのが嫌だったのである。
運営は何とか利益を出そうと必死だったんだろうけどね。まあ色々なMODも出てるし、俺みたいなのは老害ってことなんだろうとか後輩と話してたけどさ。
ちなみに医療班で班長をしているのは楓の双子の紅葉だ。
赤十字じゃないけれど医療といえば赤かなと思ったので紅葉。また翡翠に安易と言われそうだ。
紅葉率いる医療班、今はそれほどすることもないので研究室と同じ建屋にいて、れっきとした独立した班なんだけど、双子をそれぞれ起用したことで一緒くたな印象になってるんだよね。
研究員に医療関係の事を聞いてしまったり、用を言づけてしまったり。
まあ大きな問題になっている訳でもないので、施設が整ってきたらこれも改善していこう。
今日は拠点内の視察だったけれど、先日に続いて桜と一緒に回っていた。
またまた葵に見つかって逢引きとか言ってたけれどね、今日は琥珀も一緒なんだよね。
そうか、娯楽か。娯楽がないんだな。仕方ない、何か考えるとするか。心配しないでい良いよ、ちゃんと葵を巻き込きこむから。
今、崇景が必死に作成してる能美郡掌握後の防衛計画、防衛戦スペシャリストの葵がいないと進まないはずなんだけどね。
楓 かえで
研究室長。牧歌的なエルフをイメージして酪農家として作成。
研究好きで引きこもり、感情表現が下手、という主人公が持つエルフ像を反映して作られた。
感情も身体にも起伏がない。
鉄舟とは同じ佐美一族だが親等はかなり離れていて一族と言う意識はあるけれどほぼ他人。
元は生物学をメインにした研究家だが主人公の語る化学的な知識に最も反応を示した。
紅葉 もみじ
楓の双子の妹
医療班班長。楓と同じく牧歌的なイメージで作られた。はずなのだが、「医療の現場では冷徹な判断をする必要があるが、罪悪感や感情面で躊躇することなく医療に取り組む」というフレーバーテキストの何が反応したのか、平然とした表情ながらたまに共感性を持たないマッドサイエンティストのような面を覗かせることがある。
元は酪農家として作成したが、酪農に役立つだろうという理由で医術スキルを持たせたものの、成長経験値を医術スキルに全振りするよう育成した結果、やりすぎて性格まで破綻した可能性がある。
医術関連のトロフィーを獲得するための医者プレイで作った武将は他にもいるが、かなり温和な性格で作ったため、戦場でも強い意志で医療を行う紅葉に医師団を任せることになった。
受肉後もそのまま医療班の班長に。