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戦国時代に転移した話  作者: べりある
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鼎が軽いうちに。

 光顕を連れて本覚寺に行ってきた。ろくな話にはならないという予想は当たっていて、要するにお金の無心だった。まあ直接は言われなかったけどね。次回の報恩講をそれなりの規模で開催したいがその資金がいささか足りないと。


 実際そこまで当てしている訳ではないんだろうけど、だからと言って他に頼る宛もなく、と言った感じか。まあ困りごとがあれば相談してくれ、という感じでゆるく取り込みをしているので、その成果といえば成功だよね。


 小一揆側はまあ苦しいんだろうね。これが取り込む隙なのは間違いない。

 その場では「こちらでも何か出来ることはないか、帰って皆と相談します。」と言って即答は避けてきた。その程度の資金、実は簡単に出せるくらいの余裕はあるんだけどね。

 簡単に出すと有難味が無くなって最終的には出さない方が良かった、という事になることも少なくない。

 庶民から見れば雲の上の資産家達の間では電話一本や挨拶一つで数億円が動くのに、下界の人間だと事業計画書や返済計画書を丁寧位に書き上げ、ねちねちとしたあら捜しの面接を何度も繰り返さなければ数百万円程度も借りれないのはきっとそういう事なんだろうね。


 上手く行っても下手を打って倒産しても、いとも簡単に手のひらを反す小規模事業者は何人も見てきたので信用は出来ないんだよ。まあこれが本願寺直の話なら信用とかのレベルの話じゃなくなるから別なんだけどね。


 ということでこの話をこちらに有効に使うためにもみんなの話を聞きたかったのは本音ではあるので、さっそく招集して会議を開催した。


 結論から言うと、矢銭を払うので安宅に商家を立てさせてくれと、それと造船所を併設する便宜を。

 あともう一つ、小松で銅座を開くのでその便宜も。こちらは後に前田家が小松天満宮を造るあたりが良いかもしれない。安宅は小松と少し離れているからね。ここなら梯川上流の本拠地からも河口の安宅からもかなり便が良く、いざ軍事拠点を造るとしても有効だ。

 なにより銅器は重い。船着き場付近であり、小松の中心部から一番近いのはここなのだ。だから普通にここで座を開くことを要求するのは当然の流れなのだ。

 銅器は日用品もだけれど仏具や神具、寺社の建材としても需要があって高く売れる。


 本覚寺に対しての要望は、なめし皮や炭などの山の生産物、多少採掘してる銅器の販売、それらを運ぶための水運とそれを商う商家の設置。これらを行えば矢銭は多少払えるかもしれない、という理屈だ。


 まあ実際はきっかけに過ぎない。造船所は川船を作る為と思うだろう。勿論川船も作るけど本命は海船だ。日本海、特に石川県周辺海域は喫水が浅く、そのくせ荒れるのだ。ガレオンとかを作っても運用が難しい。和船を造るか海賊プレイや商人プレイで作った西洋船にするのか。そこも今後の方針に合わせて要検討だ。


 銅座も本質は仏具を売る為と言うより、対価で他の鉱石を仕入れる為でもある。まだまだ地方では銭での支払いより物々交換が主流なのだ。

 必要な鉱石に対しては取引量で優遇すればそれなりに集まると思うし、ここで集まらなくても取引先リストが出来る。寧ろそっちの方が中長期的には役に立つ。


 勿論川船を使った能美郡内での交易は絶対に必要だ。水運さえ確保してしまえば軍事侵攻にも使える。迅速に各地を抑えられるのだ。

 拠点を設ける安宅は梯川河口部にあり、河口近くで合流する前川をさかのぼって加賀三湖方面交易への中継拠点にもなる。梯川流域だけでなく今江潟や木場潟との交易はかなり重要だし、そういう場所なので安宅は経済的にも軍事的にも絶対に抑えなくちゃいけない要所だ。


 義経逃避行で安宅に関があったのはそういう要所だからでもある。むしろ縄文時代からの重要拠点なのだ。

 戦国マニアでも歴史オタクでもないけれど、都市伝説は好きで、神話や縄文時代の事は興味をもって調べたことがあるんだよね。


 まあそれはともあれ、本覚寺には矢銭、というか奉納という事にはなるけれど、それを引き換えに要求することにした。要望と言うより何とかする為に仕方なくという体は保つんだけどね。

 

 次回は凪かな。凪は冷酷無比な治安維持部隊みたいな顔をしている。光顕とのギャップで面食らうだろう。でもそれが有効なのは間違いない。勿論冷静に淡々とした交渉も得意だし。俺は隣で面倒臭そうな、でもまあ何とかするか。みたいな顔をしていれば良いだけだからね。

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