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戦国時代に転移した話  作者: べりある
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育成は大事なのである。 2

 犬を飼うことについては問題なく了承を得られた。小言は沢山言われたけれど。それにまるで捨て犬を拾ってきた子供の様に扱われた気はしないでもないが。


 犬の厩舎というか狂犬病対策や特に狼を馴致するまでの隔離施設は馬場の予定地に作られることになった。

 正直、山間部だと馬より牛の方が需要は大きいし、現状のうちだと騎兵の使いどころがない。もし今の時点で一向宗との争いになれば平地で戦うことは殆どなく、ゲリラや奇襲、暗殺などで戦うしかないからね。正規戦など以ての外だ。

 それに単に牛より馬の飼料の方が入手の手間や経費が掛るという事情もある。馬は贅沢品なのだ。


 と言うわけでそれなりに広い場所で犬達を飼育することになった。犬の方は再家畜化、狼は家畜化をすることになる。どちらも自ら進んで家畜化をするものを選んで交配していくとのこと。

 うちは動物園じゃないし学術的な価値はともあれ種の保存をするのが目的じゃないからね。

 それに交雑種の方が病気に強いなんてのも聞くし。 


 馬用に予定していた柵を犬用に変えたりするくらいの手間はかかるそうだけど隔離するための専用の厩舎は急造で造ってもらった。

 俺もだけれど狐刀たち凄く喜んでいたな。こう見てると年相応に可愛いんだよね。


 そうこの子達、見た目はとても可愛い。もう数年も経てば凄い美少女になるだろう。それは決して贔屓目ではないと思う。

 だけど思い出して欲しい。250人の中で俺が一番弓が下手だという事を。

 そうこの子達は幼くしてそれなり、一般人から見ればかなり強いのだ。それは葛葉に養育係をしているからもあるだろうし、何よりうちにとって武とは礼法や伝統などではなく、山で生きていくには狩猟を含めて生活そのものだからと言うのもある。


 それが一体どういうことになってるかと言うと「犬は上下関係を作る動物だから舐められてはいけないぞ」と炎から聞かされた狐刀達は、「分かりました」と言って寸鉄を握りしめさも狩った獲物を仕留めるような趣で初対面に挑んのだ。

 実際に既に狩猟を手伝い、解体まで行っている子達だ。それはただの威嚇や脅しではない。寧ろ淡々としてすらいる。その結果、犬達は少しも吠えることもなく服従してしまった。


 まあ柵を挟んでるとはいえ、全く危険がない訳でもなかったから何もなくて安心ではあるんだけどね。しこたま吠えられた俺には複雑ではある。

 こんな感じで初対面は見事成功し、炎たちの監督の上でだけど3人娘による飼育が始まった。


 まあ次世代の禍津も安泰なのかな。ある意味禍津の英才教育に多少怖くもなくはないけども。


 犬に警戒されてる俺とそんな俺に向かって「残念ですね。犬派のくせに。」という翡翠。そして琥珀は「大丈夫ですよ。3人は葛葉殿や炎が面倒を見ていますので。翡翠の影響は限定的かと。」とか言っている。

 全然大丈夫じゃないです。そこは心配してないし、問題なのは翡翠さんですから。などとは決して口には出せないけれど、犬達が受け入れられることになり新しい家族が増えたことは俺だけじゃなく翡翠を含めみんな嬉しそうで、むしろ俺にはそっちの方が嬉しいのだ。


 今後どうなるか分からない戦国時代だけど、やっぱり人としての人生も生きて欲しいんだよ。せっかくみんな人間として受肉したんだからね。


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