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戦国時代に転移した話  作者: べりある
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育成は大事なのである。

 加賀国、特に南部の山間部は水量の豊かな河川によって谷を形成した地形が多くあり、冬は厳しいものの夏は比較的涼しく農業にも向いていて、歴史的にも古くから集落が存在する。


 その結果、長い歴史を経て野生動物と人間の住み分けがなされていて、山間部に集落や農村が多い割に大型の獣による獣害は比較的少ない。だからと言って全く無い訳ではないが、平野部に住む人と同じように農業を営みながら、林業など山での営みを並行して行ってきた人達なのだ。それなりに対策は出来ている。


 つまり何が言いたいかというと「山の民」が全くと言っていいほど存在していないという事だ。白山信仰の修験者達も山の民化はせず、肥沃な谷で出来た農村集落に属していたし、一向宗が蔓延ってからは修験者そのものも少なくなっている。


 なので俺達が「古くからの山の民だ」と言ってもあまりピンと来ていないようで「私どもも長いこと山に住んでいますよ。」などと言われる。

 だからと言っても熊や猪が出れば怪我をしてしまうこともあるし、ましてや近現代の猟師みたいに猟銃も無い時代だからね。


 そんな地域だから俺たちが害獣対策に一帯の狩猟を任せてくれと言ったら「ああ、山の民だからね、専門家にお願いしよう。」という感じではなく「親切な人達だな、危険な仕事を請け負ってくれて。」という感じになる。


  当然その地域で獲れたものだから、形式上祭神である瀬織津姫に奉納した後にはなるけれど半分はその集落に渡しておく。半分と言ってもその時々や集落によって分け方は色々だ。「今は肉は要らないから毛皮が欲しい。」とか。その逆もあるし完全に半々な時もある。基本はその集落の要望に合わせている。


 というわけで今日は以前の懸案もあって牛首周辺の集落に来ている。上記のはその村の人たちの反応、と言うわけだ。まあ今までの村全部が同じだったんだけどね。

「理解してもらえないのはなんだか腑に落ちないけどさ、これ自体は喜ばれているからね。結果良し、だよ。」 

「ああ、そうだね。こういう積み重ねで信頼関係を作って頼りにされる関係を作っていかないとね。」

 それなりに危険な仕事ではあるはずだけど、狩猟班を率いる炎は楽しそうだ。戦闘狂なんじゃなくて体を動かすような活動自体が好きなんだろう。誰だ脳筋だなんていう奴は。俺は絶対に言わないからな。怖いからじゃないぞ、愛してるからだ。


 まあそれはいい。恐妻家と愛妻家の違いを説明する気は無いし、出来るとも思えないし。話を戻そう。


 ゲーム時代はトロフィーを集める為に梟雄や奸雄、悪逆非道と呼ばれるプレイはしてきたけれど、あれは相手がNPCだからできる事であって人間相手にはなるべくしたくない。炎達はその時の事はあまり言わないけれど、忘れてはいないはずだからね。だからこそ今回のような地道かもしれないけれど人に喜ばれることは炎にとっても嬉しい事なんだ思う。


「あとさ、捕まえた狼や野犬いるだろ。あれ私に任せてくれないか?狐刀(こと)達が興味持っててね。私がみるからさ。」

「良いよ。みんなにも言っとく。でも炎が見ててくれるなら安心だけどね。」


 犬か。天籟に言って馬場ならぬ犬場を作ってもらうか。狂犬病もあるのか、これからも増えるかもしれないから隔離施設も必要になるね。

 かなりの犬派だからな俺。実際どう処分しようか迷ってたから渡りに船と言うか、正直かなり有難い。狐刀達も後でしっかり褒めておこう。


 後はみんなの説得だね。狩猟とか戦に使えるとか言えば何とかなるかな。

 まあ計画なんて都度修正していくものだ。なんて言ったら余計に怒られるかもしれないけどさ。多少の小言くらいは引き受けないとね。



狐刀、狗刀、狸刀 、こと、くと、りと

禍津一族

藤達より更に年少。主に葛葉によって育成されている『いわゆる元服前武将』の三人娘。それぞれ両親は違うが同じ時期に生まれた為、三姉妹のように育てられている。

次世代を担う為に作成された武将。作成タイプはそれぞれ戦略タイプ、戦術タイプ、戦闘タイプで作成したが、受肉したタイミングが幼少期の為、実際どのように育つのか気になっている。

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