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戦国時代に転移した話  作者: べりある
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いつにも増して、いつもの日常回。

 戦後処理は順調に進んでいく。

 季久叔父さんは二曲(ふとげ)氏からは松永何某が名前を出したことで譲歩だけでなく五箇村に対しての見舞いの品までもぎ取ってきた。後で誰かに届けさせよう。おかげで調略が捗る。

 うちにも迷惑料として5貫文ほど渡してきたらしい。一応名分は喜捨だけどね。

 これは六兵衛に渡しておこう。山ではお金の使い道は少ないからね。夜叉丸と準備を進めている交易の原資に充てる。


 比咩神社には、元々の荷の他に、松永一党が持っていた槍や刀を奉納しておいた。多分松永何某が所有していたであろう銘の入ったものが一振り混ざっていたらしく、かなり喜ばれたとのこと。

 信徒衆を再結成までの道のりは遠いだろうけれど、少しでも一向宗の力を削ぐためにも是非とも頑張って欲しい。


 他の国人や寺院に赴いた親父達も結果は上々だ。


 特に小松の本覚寺。小一揆を指導した加賀三ヶ寺の一つだが、その本覚寺が折り入って相談があるとのこと。

 元々権威もあるし越前から逃れてきた越前門徒衆もいるのでそれなりに勢力は保っているものの、大小一揆の原因にもなった地元の加賀門徒衆との折り合いもあまり良くなく、結果弾圧された側なので随分と肩身が狭いらしい。

 どんな相談なのかは分からないけれど、きっとろくな話じゃないと思う。多少偏見かもしれないけどね。

 それほど急いだ話でもないので、月法要が終わった後に来て欲しいとのこと。それまでまだ日があるので、先日本覚寺周辺を重点的に調べたいと言っていた秋久とも話しておくことにしよう。


 ともあれ近年大きな戦も無かった加賀南部では、今回の事が少し噂になっているらしい。

 あまり武辺の噂になって欲しくないので、俺は公的には外出を控えているし、辛くも退けた、という話にしてあるんだけど、そもそも松永何某が大言壮語の類だったらしく、辛勝とはいえ評判の人物を退けた、ということだけで噂になってしまったという事だ。


「アレは手を合わせたとしても全く手ごたえのなさそうな雑魚だったけどね。」

というのが炎の評価だ。


 いずれにしても未だ韜晦しておく時期だ。本覚寺には俺と光顕で行くことにしようか。俺と光顕は真護寺家中の家で表面上、断トツで頼りなさそうだからね。

「私は兎も角、崇弘様は普段からもう少し頼り甲斐を発揮してほしいのですが。家中では昼行燈ともっぱらの評価ですよ。」

 光顕も俺には大概である。


「ですが、昼に心もとない行灯でも、夜は心強いものです。つまり有事の際はみな崇弘様を頼りにしているのです。昼行燈とはそういう意味を込めて呼んでいるのですよ。」

 凪だけは俺の癒しなのかもしれないな。見た目超怖いけど。


「崇弘様、せめて衆道は隠れて行ってくださいね。」

翡翠さんや、ちと非道すぎやしませんか、君はつい最近妻になったんですよね。


 こうして真護寺家のつかの間の平和は過ぎてゆくのであった。

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