ドア3
不思議な夢を見た翌日、昨日あの重厚そうなドアがあった場所には何もなかった。ただの壁になっているのを見て恭平はうす気味悪く感じた。
あのドアはどこに行ったのか?あの先には何があるのか?恭平の頭のなかは混乱していたが、一つだけ確信していたことがある。あのドアは確かにあのとき存在していたと。
学校の中で恭平は帰りのホームルームが終わっても、ずっとあのドアの正体について考えていた。
「・・・へい!恭平!」
「うわあ!」
恭平はびっくりして、座っていた椅子から転げ落ちた。
「なんだ零花か。どうした?」
「あんた、今日なんかおかしいのよ。昨日私と別れたあとに何かあった?」
「べっ、別に何もなかったよ。」
「なんでそう隠すのよ?あんた絶対になにかあったでしょ?」
「別になんもねえから気にすんなって。ほら帰るぞ。」
恭平は詰め寄ってくる零花を促して、恭平は帰宅の途についた。
恭平と零花が一緒に歩いていると、零花がさっきのことを諦めきれないのか問い詰めてきた。
「ねえ、いい加減教えてよ。なにがあったの?」
「さっきから何もねえって言ってるだろ。気にすんな。」
「ねえ、困ってるなら相談乗るから。ほんとに教えて。」
こういった言い合いをしながら、二人は歩いていた。そして近くのコンビニの前を通った瞬間に恭平は目を見開いた。
それはあのドアがあったからだ。しかも今回はコンビニの何も陳列されていない壁についていた。
「えっ、あっ、なんで?」
「恭平どうしたの?」
恭平の真っ青な顔をみた零花が聞いてくる。恭平は勇気を振り絞って零花に聞いてみた。
「なあ、あのコンビニどう思う?」
「えっ?別になんにも見えないし、ただのコンビニじゃないの?あんたもよく使うじゃない。」
「だよな。いや何でもない、気にすんな。ほ、ほらさっさと帰るぞ。」
やっぱり自分にしかあのドアは見えないんだ。
そう確信して恭平は零花を急かして帰宅したのであった。
ドアを見つけてから1週間がたった。この期間の間に恭平は気づいたことがあった。
それはあの重厚そうなドアが日常のどこかしらで現れるということである。
あるときは公園の壁に、あるときは誰かの家の庭先に、エレベーターの壁に出てくるときもあった。
そんな恐怖体験をしていた恭平についに一番恐れていたことが起こってしまった。それは自分の家に扉が出てきたのだ。それもよりによって自室と廊下をつなぐドアに同化して。
「クソっ!なんでこうなるんだよ。」
部屋から出ることはベランダを使えばできる。だが恭平はどうしても気になってしまった。ここまで自分に執着するドアの向こう側に何があるのかを。
「すぐ入ったら戻ればいいし、行ってみるか。」
そんなフラグを立てて、恭平はドアノブをひねって、ついにドアを開けた。
その瞬間、夢のときと同じようにまばゆい光が恭平を包み込み、恭平の意識は消えていった。
やっと次から異世界です。