第一話⑧
男は引き戸を開けると、部屋には入らず、膝をつき斜に構えて、二人を部屋へ、いざなった。
「お久しぶりです、徳田さん。」
「これはこれは、珍しい客人だ、、、」
「お聞きしたいことがあり、伺いました。」
「まぁ、どうぞ掛けてください。」
和風のつくりには、似つかわしくない立派なソファがそこにはあった。
徳田は、ソファを指し、二人は腰を掛けた。
徳田は、奥の豪華な椅子から席を立ち、対面する形で、もう一つのソファに腰を掛けた
「そちらの方は?」
「俺の相棒です。
初めましてでしたか?」
「どうも、、、」
ラウルは会釈をした。
「はじめまして。徳田と申します。」
そういって、名刺を差し出した。
名刺を受け取ったラウルは、チラッと裏を見た後、表面の企業名を見て鼻を鳴らした。
「楢島工業株式会社、、、それも取締役とは、、、。」
「こちらも、生業はちゃんとしておかなければならないものでして
さすがに、名刺に大門は掲げられんでしょう。」
で?ご用件は?シグルさん、、、」
どうやら、徳田は、シグルの知り合いらしい・・・
「こちらも忙しいんでね、手短にしていただけると助かりますよ。」
「では手短に。実は、『飛鳥地区』で、殺しがあったんですよ。
その件で、いろいろ捜査を行ってまして。」
「殺しですか、、、。怖いご時世ですね。」
「他人事みたいに言うんだな。」
「まさか、我々が関与していると?、、、」