第一話⑥
「発射残渣なんか、レインコートや傘を工夫すれば、どうにでもなるだろ。」
「えぇ、ですから、容疑者の一人としてみてはいますが、、、
しかし、死後硬直から見て、死後4~5時間経過していると思われているため、
犯人の可能性は低いかと、、、
一応、身体検査を行いましたが、銃や目立ったものも所持してませんし、、、
それに、仲間と飲んでいたという供述にも、しっかりと裏が取れていますし、
カプセルホテルの定員と、設置してある監視カメラについても、裏どりを進めています。」
「犯人の手がかりになるようなものは、何か見つかっているんですか?」
「鑑識がいくつか採取しましたが、目立ったものはなにも、、、」
「目撃者は?」
「現在、聞き込みを行っておりますが、いかんせん人通りがない場所ですからねぇ。」
死体発見現場を眺めて、相原とシグルは、顔をしかめた。
「シグルさん、どう見ますか?この現場」
「ともかく、この男の身元が解らないことには、調べるすべがない。
まずは、そこからでしょう。」
「そうですね。背景が分かれば、容疑者も絞れますからね。」
「もちろん、捜査会議は開かるんでしょう?」
「おそらく、、、まぁ本部扱いになると思いますが。」
「了解しました、とりあえず、俺達はこれで失礼しますよ。
何かわかったら連絡をください。」
そう言って、シグルとラウルは、現場を後にしようとした。
「わかりました。しかし、くれぐれもあまり、勝手なことしないでくださいよ。
私が叱られるので、、、。」
「迷惑は、かけませんよ。」
現場に貼られていた『関係者以外立ち入り禁止』のテープが、二人がくぐったことによって、大きく、そして段々と小さく揺れていた。
「さて、どこから、あたる?」
「お前、どっかで見たことある顔みたいなこと言ってたな。
思い出さないか?」