第一話②
駆け足で二人は、家を出て、そばの駐車場に停めてあった車に乗り込む。
「シートベルト」
「へいへい」
車が、数センチ、進むか否かの寸前で、ラウルは、肩から腰に向けて、シートベルトの金具を下した。シグルはラウルにとって、世話焼きの兄のような存在だろうか。
ここは、東城京。
アスナハ共和国という国の、地域の一つ、他にも、高阪圏、北方党、クロム区、八津波島、そして、夜我都間。
この、六地方に、分類される。
東城京は、さらに、二十五区に、分類され、彼らが住むのは、辰巳地区である。
アスナハ共和国は、人口、およそ二億八千万人、面積は約八百万千五百四十キロ平方キロメートル、四方を海に囲まれた国である。国を統一するのは、『皇将』といわれる政治家だ。
『将』という字が使われているが、武将が治めているわけではなく、昔、戦が行われ、その戦をおさめ、初めて島を統一した者がその名を名乗り、いま現在、名残りにより使われているが、冠のようなもの。
今は、政治家が国を治めており、主国政をとっている、ごくありふれた一国家だ。
変わっている点があるとすれば、とある制度が、定められていることだ。
その制度については、また次の機会で説明するとしよう。
「既に、現場には野次馬の群れができてるようだな。」
「交通整理ぐらいしとけよな、、、」
「なぁ、火、ねぇか?」
「肺、腐るぞ、、、」
そう言って、おれは、ライターを投げた。
臭っさ・・・
窓を開けると、都会の排気ガスと一緒に春風が流れ込んできた。
「ハイハイ、どいてどいて!」
「コラ! 道を開けろ!」
しばらくすると、関係者以外立ち入り禁止のテープを背にした、警察官が、怒鳴りながら野次馬を遠ざけているのが目に入った。
「ここか、、、」
車を降りる
テープをくぐり現場に入ろうとした。