第一話⑲
「すみませんね、アズマさん。気を使わせてしまって。」
「構わねぇさ。で?その捜査状況ってやつを聞かせろよ。こっちは時間がねぇんだ。」
「そうですね。手短に済ませましょう。」
しかし、どこからか扉が開かれる音が聞こえた。その方向にはすりガラスの仕切りが置かれていた。90センチからなる仕切りの横から、年配の男性が姿を現した。
「おっと、失礼。気にせず続けて、続けて。」
「牧野さん!ちょっとどこ行ってたんですか?捜査会議にもでないで。」
「うるせぇな。捜査に決まってんだろ。」
『牧野』と呼ばれた年配の男は、タバコを口にくわえた。すると、〝カチッ〟と火のついたライターが目の前に差し出された。
「おぉ、悪いな。」
風よけに、火を手で囲うと慣れた様子で、タバコに火を付けた。
「久しぶりだな。眼帯小僧。」
「お久しぶりです。牧さん。」
「おめぇらが、なんでいんだよ。非隊が出てくるようなヤマじゃねぇだろ。」
「すみませんね。こっちにもいろいろあるもので。今回は、協力体制を取らせていただくことになりましたので、悪しからず。」
「フッ、、、非公式に、だろ?」
「おい!おっさん!」
「こっちの話、続けていいか?」
「おぉ、ガキ。まだ生きてやがったか。」
「おかげさまでな。」
「相も変わらず可愛くねぇ、ガキだ。」
「クソジジイが」
「まあまあ、とにかくここは捜査の情報を提供しあうということで。牧野さんもよろしいですね。」
「シグルさん、お話の続きをお願いします。」