第一話⑱
「これはこれは、監理官。それに、田部警視正とアズマ本部長までいらっしゃるとは。
お久しぶりですね。アズマさん。」
その問いかけに、軽く会釈をするアズマ=フロント第一課捜査部本部長。
しかし、そこで磯村監理官は一歩前に出る。
「こんなところで一体何を?」
「捜査協力ですよ。」
「そんなことを聞いているんじゃないんですよ。どうやってここに入ってきたのかと聞いているんです。」
会話に割り込むように入ってきたのは、アズマ本部長であった。
「さすがにあなた達でも、ここまで入ってこられては困る。」
「すみませんね。捜査会議に間に合わなかったもので。
こちらの捜査状況をご報告に伺いました。いかがです?」
目線を会議室に向け、シグルは自分の意図をそれとなく伝える。
だが、アズマはその意図に気づくも、「あちらで話しましょう。」と別の場所を指さした。
監理官、警視正、アズマ、シグル、ラウル、相原。
この6名で、指さされた場所に向かう。
ある部屋まで行くと、
「私たちはこれで失礼しよう。」
そう切り出したのは、磯村監理官であった。
その言葉に同意したのは、田部警視正。
そそくさと歩いていく磯村に対し、田部警視正は軽く頭を下げると、少し足早に磯村の後をついていく。
「あぁ、、、アズマ本部長!報告のほうはお忘れなく。」
「はい。」
振り返り、田部は、アズマにくぎを刺すような言葉を残し、また歩き出した。
返答を終えたアズマは、残りの者を部屋に入るよう促した。
〝ガチャン〟
扉が閉められた。