第一話⑰
「ほとんど手掛かりがないということだな。」
書類に目をやりながら、つぶやくアズマ本部長。
田部警視正は、スッと立ち上がると、
「ともかく、情報量が足りなさすぎる。まず、第一班は現場の聞き込みの徹底。周辺の防犯カメラなどで、被害者の足取りをつかめ。
第二班、もう一度、第一発見者から当時の状況を聞き、再度、現場の状況整理してくれ。
第三班は、引き続き、周辺の狙撃場所となる場所の特定。それと、狙撃と断定できる物的証拠の特定を急いでくれ。
続いて、第四班。司法解剖の結果から割り出せる、使用された銃の特定を急いでくれ。
第五班、組織的犯罪の可能性もあること視野に入れ、特定リストに該当する組織からの聞き込みと捜査協力要請を出し、めぼしい人間の割り出しを行ってくれ。
よろしいですね?磯村管理官。」
「えぇ。そのようにお願いします。」
「全員!現場が『非常的管轄地域』ということは、わかっていると思う。
つまり地域が地域だけに、早急な解決が求められている。組織的な犯罪となれば被害が 拡大していく可能性も大いにある。被害者をこれ以上出さないためにも、全力で捜査に臨んでほしい。
全員、気を引き締めるように!いいな!」
「はい!」
“解散〝
会議室からぞろぞろとスーツ姿の警察官が、自ら行うべき行為を胸に、向かうべき場所へ、足を運んでいく。
そこに、二人は姿を現した。
「相原さん。」
「!」
足を二人の元へ運ぶ相原。
「何をしてるんですが?こんなところで」
「何って、一応、情報提供をと思いまして。」
「それはありがたいですが、、、」
その時、三人に近づいてくる足音が聞こえてきた。音の方向に、目をやる三人。
「そこで何をされているのですか?ライダー協会委員殿。」