第一話⑯
「はい!
目撃者の捜査についてですが、こちらも難航しており、地域住民からもこれといった情報は得られておりません。」
すると、捜査員七十五名に対面した状態で、席に着く三名の幹部の一人、『磯村監理官』は閉ざしていた口を開いた。
「まったく、どうなってる!
なんの情報をつかめていないとは!何のための捜査会議か分からんではないか!」
「申し訳ありません。磯村監理官、、、」
「操作の手がかりになるような情報はないのか?」
「先輩、、、
あの人たちは?」
「ん?あぁ、中央にいるのが、磯村監理官だ。その右が、田部警視正。左が、アズマ本部長だ。」
「監理官より、警視正とか本部長のほうが、階級は上のはずじゃ?」
「磯村監理官は、キャリア組だからな。それと違って、田部警視正とアズマ本部長はノンキャリア。
まぁ、階級とは別にキャリア組とノンキャリアで、いろいろあるみたいだからな。」
「なるほど、、、」
「おい!四班!報告を!」
田部警視正は、止まっていた現状報告を続けるよう促した。
「あっ!はい!
えーと、、、」
それまで先輩との会話に気を取られていた捜査員は、言葉が詰まる。
代わりにその先輩捜査員が、報告をかって出た。
「すいません。私が代わりに。
遺体を、司法解剖にまわしたところ、死因は銃撃によるもので、脳幹を貫かれての即死。
争った形跡もなく、薬莢や火薬などの痕跡も遺体付近からは、確認できてないため、
狙撃の可能性も視野に入れ、捜査を進めております。」
「狙撃となった場合、行った場所の特定は?」
「はい。三班の武井です。周りのビルや、高所となる場所をしらみつぶしに当たっておりますが、めぼしい場所の特定には至ってません。」