第一話⑬
徳田は、封筒をシグルに手渡した。
「これは?」
「一週間前、ある取引がありましてね。大口の取引で、相手の素性も確かだった。
だが、その取引の三日前、相手の組織の一人が、逃げ込むように家に来ましてねぇ、、、
『かくまってくれ』そう言って、この封筒を渡してきたんですよ。」
「中身の話をしてくれますか?
経緯などに我々には興味ない。」
「中身、、、ですか、、、」
徳田は、封筒から複数の書類と写真を取り出した。
「見て頂いた方がお早いかと、、、」
「、、、」
「シグル、、、」
ラウルは、そう言って、視線を写真から、シグルに移した。
「これを渡してきたものは?
今どこに?」
「それを知ってどうするんですか?」
「出せよ
いるんだろ?」
「知りませんよ、、、
姿を消したんですよ、四日ほど前にね。」
「あんまり、ふざけたことぬかすなよ、、、」
「怖い顔せんでくださいよ、本当に知らないんですよ。
なんなら、この屋敷、隅々まで探してみますか?、、、
『札』も持ってこんと、できるわけないですよね?、、、シグルさん、、、」
「わかった。
話を移そう、この書類と、殺された者のつながりは?
あんたの話しぶりだと、ここに駆け込んできた奴と、殺された奴は、違うって口ぶりだよな、、、」
「さぁ?その辺は、ノーコメントで。
ただ、先ほどの死体の男、首に入れ墨が入っていたでしょう。」