第一話⑪
奴をかこっているという話でね。とすれば、なにか悪さを企ててると勘繰るのは当然で しょう。」
「山尤党が、関わっていると?」
「我々は、そういうことはうかつにくちにしないことにしてるんだが、一つの可能性の話ですよ。」
「情報の提供は感謝しますが、山尤党、、、悪残会とは敵対している組ですよね?」
「組織が部外者であるものを、わざわざかくまうなんて何かあると思うのは当然でしょう。それに、この世界は情報が全てですからね。一つでも有益な情報を携えている方が勝つ。
情報は命よりも重い。でしょ?」
「それに、敵対なんて言い方はよしてくださいよ。同じビジネスをしていても、会社名が違うなんてことはよくあることでしょ。」
「山尤党について、他に詳しい情報はありませんか?」
「ノーコメントで。」
「ここまできてそれはないでしょう。」
〝ふぅー〟と徳田は、煙を吐き出し、灰皿にたばこを近づけた。
「では、その『クラウン』というものについてはどうですか?」
部屋に備え付けられていた、時計の針が秒針を刻む音が部屋に響く。
徳田は、閉じられた重たげな唇を、開いた。
「そうですね、、、ずいぶん昔は組織的に、暗殺者を育成するというのが盛んにおこなわれていたらしいんですよがあったんですよ。
クスリやらなんやらで身体機能を向上させたり、道徳的なものを一切捨てさせ、殺しと いう行為をこなすためだけの『物』として訓練をしたりと、、、
まぁ、さんざん失敗作も作ったらしいですけどねぇ、
けどある組織が、創り上げたらしいんですよ、、、最高のスペシャリストを。
だが、噂によるとその育ての親と呼べる組織を壊滅させて、姿を消したらしいんですよ。
その後は、いろんな組織を転々として殺しの依頼を引き受け、また姿を消す。
そうやって雲隠れしながらも、決してその者が、この世界の『過去の遺物』になることはなかった、、、
何故か、わかりますか?」
「、、、」
「殺しの文化が、この世界には強く根付いているからですよ。」
「随分と、お詳しいんですね?」