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【1日目】A型のラッキーカラー:?

 アプリのゲームは、あまりやりません。


※noteにも転載しております。

「ああっ、ちくしょう!」

 透明(クリア)ケースのはまったスマホを手にして、悔しそうな顔をする一樹(かずき)に、あたしはもはや(あき)れ顔を隠す気すらない。


 最近、夢中になっているゲームらしく。デイリーボーナスと表示された画面に、黒いカプセルがころがってきて。タップすると、桃太郎か、かぐや姫でも産まれそうな割れかたをしたとおもえば、ぱっくりとまっぶたつ。

 なかから出てきたのは、☆ひとつの、(びん)入り栄養ドリンクのようなアイテム。

 ご愁傷様。参加賞的なはずれアイテムなことは、そのゲームをやっていないあたしにだってわかる。でも課金もしないで、ログインしただけでもらえるアイテムなんて、こんなもんでしょ。


 ねえ、そんなことより。あのアニメの映画、いついくか話そうよ。あさっての祝日なんてどうって、脇腹をつっついてやるあたしを無視して。彼はまだぶつぶつ言ってるから、手に負えない。

 すぐに夢中になるのは、一樹(かずき)のいいところだとも思うけど。スマホのゲームのせいで、あたしがないがしろにされるとしたら、そうも言ってはいられないや。

 むくれはじめたあたしに気づくと、彼は言いわけがましく、なんだか説明をはじめた。

「レアなのが出る確立が、ふだんの何倍も高いんだよ」

 聞くところによると、一周年記念とかだそうで。月曜日のきょうから一週間は、レアなものがもらえる確率がかなり高くなるらしい。

 なるほど、無課金勢である彼はこのイベントに望みをかけているようだ——以前、いっしょに遊びにいくための資金まで課金に費やしたことがあり、それからあたしが課金を禁じたのだが。どうやらちゃんと守られているよう、よしよし。


 だが、今回ばかりはそれが逆に(たた)ったみたい。

 またぶつぶつ言いながら、一樹(かずき)はスマホをいじりはじめる。攻略サイトでも見ているのであろう。

 おおきなため息をひとつ、つくと。あたしもピンクのケースのはまったスマホをいじって、アプリをひらく。

 人気漫画の公式アプリ。科学至上主義のポンコツ男子と、占い師のヒロインのラブコメバトルもの。アニメ化もしていて、あたしたちが()に行く予定なのも、こいつの劇場版だ。

 映画の公開期間を確認し、まだしばらくは上映があることに安心するして、アプリ内の他のコンテンツをのぞいてみる。


 あ〜あ、こんな調子じゃ。

 あさってどころか、今週末でさえ映画に行けるかあやしいものだ。

 ゲームしたいなあ。

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【この作品は↓の作品へのカウンター・ストーリーです】
社畜女子は星座占いがお嫌い
作者:未来屋 環 先生
― 新着の感想 ―
[一言]  新連載ですね!  下手をするとどこまでも沼ることのできるアプリゲームと占い。  身近に極度にハマってる人がいると、なんだか冷めてしまうんですよね。  踊らされっぷりを楽しみにしています…
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