ライバルキャラを追加しよう
私の名前は、小山内 茜。
この間はみんなで海に行ったところ、原因不明の変化が起きて、目標であった早坂 ひまりをメインの登場人物にする事に成功しました。
目標は達成したものの、何が良くて何がダメだったのかさっぱり分からない以上今まで通り手探りで手掛かりを探すしかないのなら前と変わりない気がする。
しかも未だにイケメン君の好きな人は当て馬君のままだし、親友ちゃんがイケメン君を好きそうな雰囲気は全くとしてない。
つまり!いくら登場人物が増えたとて、イケメン君を好きにならなければラブコメにはならないってわけだ!
ならば、そもそもイケメン君に好意があるメインキャラにピッタリな女の子を見つけてくればいい話だ。
ここは空想の世界そんな人都合のいい人だってたくさん見つかるはずだ。
海で遊んでた分を取り戻すんだ!
私は今日1日学校中を歩き回り、条件に合う女性を探し回った。
その結果なんという事だろう。
条件に合う女性が3人も見つかった。
1人目は、真面目な生徒会長
2人目は、運動神経抜群の元気っ子
3人目は、ピュアなギャル
以上の3名を見つけることに成功した。
キャラもしっかり立ってる上しかもイケメン君に好意を抱いている。
私の理想通りだ。人数も多すぎずちょうど良い。
よし!この3人をイケメン君に近づかせ、仲良くさせよう。
まずは、手始めにギャルの子からにしよう。
あんまり絡みないけど、ギャルならノリで何とかなりそうだし、人との距離を縮めるのも得意そうだ。
ちなみに私は彼女の名前を知らない。
話した事ない上この物語ではモブ女として扱われているからだ。
さてなんて話しかければ良いのやら.....。
まぁとにかく行動あるのみ!
私は可愛いし、メインキャラだから軽くあしらわれる事もないし何も怖いものはないのだ!
私はそう自分に言い聞かせギャル子に話しかけた。
「ねぇ!もし良かったらだけど今度一緒に遊ばない?」
「いきなりだね〜、んー、まぁ〜いいよっ!」
やはりギャル話が早い。
私は何とかその後も話を続け、週末に会う約束をした。
週末。私の隣にはイケメン君。
ギャルの子と遊ぶ日に無事にイケメン君を連れてくる事に成功した。
ただ、一緒に親友ちゃんと当て馬君も付いてきてしまった。
4人で待ち合わせ場所に待機していると、ギャル子ちゃんがやってきた。
「お待たせ〜...って!雲野!?それに他にも.....」
「ごめんね!どうせならみんなも誘おうと思って...まずかったかな?」
「ううん!全然!てか友達は多い方が楽しいしね〜」
ギャル子ちゃんはイケメン君を明らかに意識している。よし!このまま2人が仲良くなればミッション達成だ!
「こんにちは、北条さん」
イケメン君がギャル子ちゃんに微笑みながら言う。
なるほど、彼女は名も無きモブからたまーに出るサブキャラに昇格したって訳か。
まぁここまでは楽勝。
さぁここからが勝負どころ!どこまで親密度を上げれるかな!?
私達は合流してから、とりあえず街をブラブラしていた。しかし、買い物を終えご飯を食べようと思った時、ふとイケメン君と当て馬君がいなくなってるに気付く。
「あっあれ?大星君と紘人君は?」
私が慌てて2人に聞く
「あれっ?ほんとだ、居なくなってる」
ギャル子ちゃんが驚いたように言う。
「きっとはぐれちゃったのかな?2人とも小さい子供じゃないし後でメールだけして合流したら大丈夫だよね」
親友ちゃんが言う。
「そっ、そうだね...、じゃあご飯食べに行こうか」
私は落胆の気持ちを隠しながら2人にいい、そのままお店への向かったのだった。
私達3人は、近くのカフェでお茶をしている。
イケメン君とギャル子ちゃんの距離を縮めようと思ったのにまさかはぐれることになるとは.....。
また失敗したのか.....。もうどうすれば良いのやら。
「ちょっと御手洗行ってくるね」
親友ちゃんはふと話しかける。
私達2人は親友ちゃんを笑顔で見送る。
急な2人っきり。さてなにを話そう。
そうだ!今がチャンス!ギャル子ちゃんがイケメン君の事をどのくらい好きなのか聞いてみよう。
「ねぇ、北条さんって大星君の事好きなの?」
「へぇっ!?いっ、いきなりだね〜.....どうして?」
「いや、北条さん、大星君のこと見てる事多かったから、そうかな〜って...」
「そっそうなんだ...バレちゃってたんだ...実はずっと前から好きだったんだよね.....でもね、付き合いたいとは思ってないよ、茜ちゃんには勝てないの分かってるし.....」
「どうして私の名前が?」
「だって、茜ちゃんと雲野いいカップルだもん。てか茜ちゃんも雲野の事好きなんでしょ?私応援するよ」
「へっ?いやいや!あれはただの幼馴染で...!別に好きとかそんなんじゃないよ!それに私が仮に好きだったとしたらなんで応援するの?言っちゃえばライバルってことだよね...?」
「まぁ、確かにライバルかもしれない。でも私好きな人には幸せになって欲しいわけ、きっと、雲野だって茜ちゃんの事が好きだと思うし、それなら私なんかより茜ちゃんと付き合って幸せになって欲しいって思ってるの。だから付き合う気とかないし応援する」
.......とてもいい話だがごめん。イケメン君の好きな人は当て馬君なんだ。私じゃない。
とにかく分かったことはこの子はこの物語に深くは関わらない。
無理矢理関わってもこの子を傷付けるだけだろう。
さすがにそれは可哀想だ。
彼女の事は残念だが諦めよう。
「そっか.....」
私は一言そういい別の話をした。
その後、親友ちゃんが戻ってきて、しばらく話した後、カフェを出た。
いなくなった2人を探しに少し歩いたところで
「あっ、ごめん!私ちょっと御手洗行ってくる!」
私は2人に一言そう声を掛けてトイレへと向かった。
トイレから戻る途中に近くのベンチに座っているイケメン君と当て馬君を見つけた。
私は声を掛けようと近づいた時、2人が何やら楽しそうに話し込んでいるのに気付いた。
私は2人の会話にバレないように聞き耳を立てた。
「ねぇ、涼本くん。今日楽しい?」
「え?楽しかったけど...」
「そっか...!それお世辞じゃないよね?」
「そんな訳ないだろ、事実だよ、どうしたの急に?」
「なんかさ、久しぶり2人っきりで出かけたから涼本くんの事楽しませてあげられたかなって...」
「///へっ、変なこと言うなよな!...雲野くんこそどうなの?楽しかったの?」
「はい!すっごく!!」
「それならいいけど!」
きっとあの二人は両片思いなんだろう。
会話を聞いてるだけで分かる。
私はイケメン君の事好きではない。そしてイケメン君も私を好きではない。
私達はただの幼馴染。
果たして私は当て馬君に勝つ事は出来るのか...?
ただ1つ私は気付いた事がある。
きっとこの物語の終わる日はあの二人が結ばれた時だ。
今のままではハイペースで結末までたどり着く。
私には時間がないんだ。