~ 実話を基にしたストーリー ~
< 出会い編 >
カナダでのワーホリ生活が、5ヶ月目に差しかかったある日。
今日はセントパトリックデー!パーティーのためにハウン(韓国人のハウスメイト)とお買い物。でもさ、セントパトリックデーってそもそもなに?なにを祝うの…?
店員に聞いてみる。結局何かはちゃんと分からなかったけど、これだけは覚えてる。
「うちに日本人働いてるよ。」
ふ〜ん。遠目でレジを見る。あれかなー?でも今日はハウンと買い物来ただけだし、ドアを開けて足早に店を出た。
4月だというのに雪はしんしんと降って、心まで冷えていく。寒さに慣れない。カナダに来てほんとに落ち込むことが増えた。なにがいやとかじゃなくて気持ちがガクッと下がっちゃうの。気分が不安定でさ。
一時期メンタルクリニックも行ってみたけど、薬を処方されることもなく
「一時的にみられる冬季うつですねー」って。
なにか楽しいこと、光を探してたんだ。君に出会うまで。。
こないだハウンと一緒に来たダララマに、今日は1人で買い物。ここは雑貨が数百円単位でたくさん売っててほんと助かる!
レジに並ぶ。あ、絶対この人こないだ聞いた日本人だ。わ、声かけようかな。
思えばカナダに来て日本人の友達はいなかったなー。うーん、顔を見てちょっとタイプかなーなんて……
よし。
「日本人の方ですか?」
「はい。」
「ワーホリですよね?こないだ店来た時日本人が働いてるって聞いたんです。」
「そうなんですね!」
「お互い頑張りましょう。」
「頑張りましょう!」
レジを後にする。なんだかドキドキと、嬉しさがあった。日本人と久しぶりに話したからだろうか。人に声かけるとかしないけど、なんとなく話そうって思った。
でも、特に気にとめることもなく数日が経った。。
また来た。ダララマに。普通に買い物だ。でも、ちょっと気になるこないだのあの人。。
あ、レジにいた。
「こんにちは。」
「あ、こんにちは!」
「いつからカナダいるんですか?」
「11月からですよー。」
「え、私も!!てかここよく来てましたよ。」
「そうなんですか!会ってたかもしれないですね。」
「いやびっくり!」
「…でも、あと2週間後にカナダ出ちゃうんですよ。グアテマラってとこにスペイン語留学するんです。」
「え、そうなんですかー!?」
なんだろう、ちょっと寂しさがあった。出会ったばっかりで、レジで店員と客として会話してただけだけど、なんかね。。
普段は仕事場のスタバと、家の往復の日々。海外行きたい!って勢いだけで来たけど、スタバで働いて家帰ってダラダラしてハウスメイトとだべって…
そんな毎日を過ごしてた。寒くて外に出る気も起きないし、とにかくたくさん落ち込むし。
今日も、ダララマ行こう。チョコでも買おう。
なんか必要なものほかにあるかなー。
あれ、?
「あ!」
「あ!」
現れたの、突然あなたは。
ばったり、あの人と会った。
今日はレジじゃなく、店内でお互い、お客さんで。
「さっき仕事終わったんです。」
「あ、そうなんですね!」
「…。」
「…。」
「…あの、どっかカフェでも行きませんか?」