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渚と翼
放課後、俺は明石に連れられ、1‐Bの教室の前にいた。
「あれ、翼?それに小宮山先輩?」
ひと目で分かった。
明石と同じ中性的で美人な顔立ち、ただ明石に比べて少し背が低く、髪が肩まである。
「渚、一緒に帰らへんか?」
「……三人で?」
「せや」
「別にいいけど……」
明石の妹・渚は不可解、と目が語っていた。
「よっしゃ、行こか」
俺は明石に小声で語りかけた。
「(互いに呼び捨てなのか?)」
「(せやで、たまにワイがちゃん付けで呼ぶくらいで渚はずっと呼び捨てや)」
「なにしてるの?」
「なんでもないで!今行く」
明石渚に呼ばれ、俺達は下駄箱のほうへ向かった。
「(というか明石……もしかして俺って彼女と面識あったのかよ?)」
「(ああ……あるで)」
「(……先に言えよ)」