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推理と重複

「わかったよ。今日は泊まっていけ。今日だけだからな」/「駄目だ。それは出来ない」

!?なんだ、今……俺は、何て言った?

「小宮山さん、ありがとうございます!」/「小宮山さん……そうですね、ご迷惑ですね」

貴子は頭を俺に下げた。

何故なのかわからない。謝罪か?或るいは感謝か?

俺はどこか大切な部分が壊れてしまって物事が正しく認識出来なくなったのだろうか?

「小宮山さん……?」

ポンコツとなった俺に貴子が触れた。

静電気を持っていたのか、微かな電流が全身を伝った。

「貴子、か」

「どうしたんですか、小宮山さん?」

「あ、いや……」

ポンコツとなった俺に何があったのか等、伝えられるはずがなかった。

……仮にまともであったとしても、伝える事が出来たとは思えないが。

「あの、やっぱりご迷惑でしたか?」

「え?」

貴子が何を意味する言葉を言ったのか、分からなかった。

前後の言葉との関連性が、分からなかった。

「その、やっぱりご迷惑ですよね、僕なんかが泊まったら……」

「そんな事あるか!」

無意識に声が大きくなっていた。

貴子は俺が突然叫んだ事で驚いたのか、或るいは恐ろしかったのか、身体を強張(こわば)らせた。

「あ……いや、すまない。怒鳴ってしまって……」

「い、いえ、大丈夫です」

「そうか……なら、よかった」

それでも、貴子は不安そうな目をしていた。

「貴子、迷惑だなんて事はないんだ。」

「はい……」

貴子は頷いてはいるが、納得はしていない様子だった。

「あのな、俺は自分の都合も考えて今日は貴子に居てほしいと思ってるんだ」

「え、小宮山さんの都合、ですか?」

「そうだよ……貴子、話って何だ?聞かせてくれるか?」

「え、あ……」

「ああ、そうだ。お前、俺が断ったら話すつもりなかっただろう?」

「そ、そんな事は……」

/明石翼の件は不可抗力だったはずだ。

果たして、そうだろうか?だとしたら、何故、話をする前に電話をかけた?/

「いいや、お前は嘘をついている」

まるで、推理漫画における探偵役のように俺は貴子の鼻の先に指を突きつけた。

「えっ!?」

俺は突きつけた指を貴子の手にスライドさせた。

「知ってるか、貴子?お前は嘘をつく時、そうやって無意識に自分の手首を握るんだ」

「!?」

貴子は自分の手を見る。

その手は確かに左手が右手を握っていた。


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