解放戦線の終わり
そのころ現実世界では、李衣菜の父親の蒲生が、山奥の研究所から街中へ自動移動の最中で切っていた連絡をオンへと切り替えた。蒲生への連絡がけたたましく何度もなり、慕って付いて来てくれた部下たちが代わる代わる連絡をよこしてきていた。その内容は、全て同一だったが聞かされる内容は、目の前の少女に関連した驚愕の内容だった。
「大変なことになった」
「なんかあったんです?」
二人の少女は、自分たちを導いてくれる頼りになる男性がきて、もう大丈夫だと安心しきって楽観していた。だが、その男性が焦りの表情を浮かべると自分たちも生唾を飲みその話を聞くのだった。震えながら語った内容は、政府と解放戦線たちの癒着の内部告発であり、世間へとリークされていた。国内では、二つの組織へパッシングが起こり暴動へと変わって行った。両方の組織は、信用は地に落ちが壊滅的な被害へと陥っていた。
政府が管理すべきだった対象者が、実は裏で解放戦線によって解放されていたこと。
それに伴って対象者の全員が、脳死を隠蔽して連絡しなかったこと。
バージョンアップによる第二エリアの大多数の死亡者。
そして敵として認知されていた解放戦線への情報提供や機器の提供。
見返りとして脳死状態からの復帰の技術提供と関係者からの報告。
いろいろなことによって、各地で暴動が起こり、どの都市でもデモが発生していた。そして両者の結びつきが、ガス抜きとして政府がつくった解放戦線とした作り話によって、解放戦線からも大多数が離脱し組織としての機能はできなくなった。
ほんの小さなグループだったTRTが、全て過激派のTRTへと流れていき大きな規模のグループへと生まれ変わって行った。
蒲生が二人に話し、情報判断が遅すぎたと気づいた時には、解放戦線の隠れ基地へと到着したところだった。既にTRTによて完全に占拠され、普段よりも多くの人で賑わっていた。そこには、かつて解放戦線で戦った蒲生が知っている人物は誰も見かけなかった。TRTの面々は、やってきたトラック型のホバーを取り囲むと、蒲生は諦めリイナを秘密の床下に格納するとホバーから降りた。第一エリアを解放した蒲生だと分かると二人の少女と共に、地下の倉庫で使用していた部屋へと幽閉したのだった。
「蒲生さん、どうしよう」
「さて、どうしようかな。
直ぐには、出れそうにないな。
ちょっと様子を見よう」
「……」
施設内を熟知している蒲生は、一人ならどうにでもなるかと思っていた。二人の少女をつれては見つかる危険しかなかった。ドアの入口の前には二人の屈強な男が経っておりどちらかがいなくなれば、なんとかなるかもしれないとそんな風に思っていた。
彼らが捕まる数日前の現実世界では、一人の美女が男性と話をしていた。彼女は身重であり男性は旅の同行を認めたくなかったが、彼女の硬い意思のため、押し切れなかった。すべての情報を親の金の力で取得してきた彼は、親友の手助けを行うため遠い地へと出発することにした。
ネタバレ山盛りのあとも、前作に興味があるひとは、こちらをどうぞ。
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