第三エリアからの出発
二人が現実世界で第一エリアへ向かってる中、ヒビキもリイナを引き連れて第一エリアへと旅立つため、水上都市に来ていた。
そこでは、半年で一度しかこない巨大亀がやってきていた。
「あれに乗って移動するの?」
「うん、そうだね」
「そっか、今回はふたりっきりだね」
「しかたないよ」
ヒビキは、リイナを抱き寄せスズネが使っていた飛行呪文を唱えると亀に向かって飛んでいた。
他の仲間たちは、姫やシルキィの魔王候補の彼女らは長々と旅にでられないためやってこれなかった。大陸最強のアーチャーのアメリアは、小さい姪っこを守るためを理由にこなかったが、本音は可愛すぎて離れたがらなかった。同様にリイナのママであるパトリシアに生まれたジルを守るためとの理由でアンドレアもその場に残ることになった。アンナは、ユキナがいなくなったことで神官の仕事でどうしてもぬけれなかった。本来であればリイナも残るべきだと思っていたヒビキだったが、事がリイナの分身を探す旅と知られるとと強引に付いて来るといって聞かなかった。
そしてヒビキは亀の背に乗ると、一か月前の事を思い出していた。鈴音からリイナの体が第一エリアに存在していることを知り、シューリンに相談に行ったことだった。
シューリンは、鈴音からの情報を聞くと苦い顔をした。それは、リイナとのコネクト接続しただけでは、復活は難しいということが判断できたからだった。響にどう言うか少し悩んだが、そのまま伝えることにした。何度となく彼が納得するまで繰り返し話をしたのだった。響も管理者権限をもっていたため、何度となく確認をしたがリイナのデジタルブレインには、現世の記憶が少なく壊れていて読み取ることができなかった。
新しく作られた第一エリアであれば劣化が少ないリイナのコピー体がいるはずとのことだった。だが、どれも憶測でしかも見つけ方も判らなかった。一つ言えることは、リイナと外見が似てるであろうということだった。思い起こせばみかんやモモは同一のデジタルブレインのコピー体であることが判っていたため、想像はついていた。彼女に伝えて理解させることができるのか難儀だったが、どうしてもこちらに来てもらう必要があった。鈴音が無事本体を見つけ第三エリアまで運ぶことができれば、何とか二人で現実世界に戻れるかもしれない。苦労することは分かったが、何としても見つけると覚悟を決めると、シューリンに後のことは任せて、第一エリアに行く段取りをし始めたのだった。
第一エリアへは、第二エリアがロスしているため、陸路での移動は行えなかった。そこで、一気に移動できる水上都市の亀を使っての移動を思いついた。そのため、リイナと共に亀に移動していたのだった。
リイナは、ヒビキの言っていることはまるで分らなかった。だが、自分をおいて当てのない旅へと置いて出ていくのだけは許すことはできなかった。もう離れ離れにはならないと言っていたのに、危険だからと自分だけ危険な場所に行こうとする彼を待つことなんて出来なかった。
そして、スズネからこっそりと聞いた話も、ヒビキに伝えられた情報を超えており想像することもできなかった。その内容は、仮想空間を再作成する際に使用された実験体がリイナだということだった。
前作を読めばもっとおもしろいかも?
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