表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/23

新しき命

 アースとヒビキは、目で語ると二手に別れ、吉原のスキルを警戒し同一範囲内に入らないようにフォーメーションに着いた。二人を見たTRTのメンバー我先にと、二人に向かって行った。ヒビキは、黒赤剣で一閃するとあっという間に数人がその場に倒れ光の粒子へと変わって行った。

 彼らは、そんな様子に怯えることなく、どんどんと二人を囲んでいった。そんな中戦いを遠目に見ていたメンバーは、認識祖語のスキルを持った荻原が暗躍し一人づつ倒していった。

 

 吉原は、メンバーが一人づつ倒されながらも、心の中では余裕だった。時間停止の絶対スキルと確殺されるダメージを確率でなかったことにできる不倒のスキルによって、不意打ちされても問題ないと侮っていた。

 

 そんな中、二人以外の魔王を発見し、その奥を大事そうに守っているように感じられた吉原は、手すきで囲っているメンバーの半分を向かわせた。

「お前ら、暇な奴は、奥にいけ!

 あいつも魔王のはしくれだ!

 倒しに行け」

「おーー!」

 二人を囲っていた人物以外が、小さな洞窟に我先へとむかっていった。アースとヒビキは、一気に危険が増したエアとリイナを心配し、囲いの一部を破壊すると軍団に向けて走り寄った。だが、それを待っていた吉原は、二人が囲いから抜けたところを待ちにまっており、孤立したところで、身動きを止められた。

「く、しまった」

「ははは、ばかな奴らだ。

 お前ら、俺のスキルにかぶらないように攻撃しろよ」

「「「了解!!」」」

 かなりの人数が声をあげ、ゆっくりと二人を囲んでいった。そしてどんどんと離れていく愛する人を襲う一向にさらに絶望感がましていった。

「く、くっそ、

 う、うごけ、僕の体!」

「ざまぁ、ないな、神樹 響!

 絶望をいだいて……ぐはっ!」

 吉原の声に絶望し始めたころ、荻原は吉原の後ろから袈裟斬りにすると思いっきり端に吹っ飛ばした。荻原は、認識祖語のスキルの帽子を外すと、ヒビキを囲もうといていたTRTのメンバーに斬りつけた。

「かっちゃん、油断しすぎだ。

 大丈夫?」

「助かったよ、

 おっくん、後ろ」

 荻原は、言われた通りに後ろを振り返ると倒したはずの吉原がこちらに向かって起き上がってきていた。

「なにかのスキルかな。

 ここは俺に任せてお前は彼女の所へ迎え!」

「うん、ありがと、

 行ってくる!」

 ヒビキは、親友の荻原に全てを任せ軍団に向けて全速力でその場を後にした。

「今度は、もう一人の英雄か、

 まぁ、俺の敵ではないな」

「それは、どうかな?

 まずは、一撃でも入れてから言ってくれ」

 荻原は再度装備を行ったが、既に輪になって囲まれており剣を振られながら輪が小さくなり徐々に真ん中にしか安全地帯は無くなっていた。

「こりゃ、駄目かな」

 

 荻原がピンチに陥っている頃、土の魔王ニークも何十人もの冒険者が迫ってきており、焦っていた。

「だ、だ、だ、駄目だって」

 ニークは、入り口に近いところに以前の試作型のゴーレムを何体も召喚した。だが、そんなことをやっても大した足止めにはならないことは分かっていたが、それでも、ありったけのゴーレムを召喚し続けた。ほぼ、ウドの大木のようなロックゴーレムは、何の活躍もないままあっという間に倒されていった。

「あぁ、駄目だ、あんなんじゃ。

 誰かたすけてよぉ」

 彼の召喚ストックも無くなり、あと数体でTRTの一団がせまい洞窟へとやってきそうだった。

「もう、駄目だぁ……」

 二体のゴーレムを追い越し一部のTRTメンバーが剣を構えて、ニークに一撃をいれるところまでやってきていた。

「あぁ、やめてー」

「大人しく死んどけ」

「おもえがな!」

 剣を構えたTRTのメンバーが美しいい女性、水の魔王候補が一撃のもとメンバーを光の粒子へと変えていった。

「大丈夫か、ニーク?」

 炎の魔王が腰を抜かした土の魔王に手を貸して立ち上がらせた。

「た、助かったよ」

「あぁ、後は、俺らに任せろ。

 お前は、エア様につきそってくれ」

「あぁ、任せといてよ」

 ニークは、二人の魔王と魔王候補とそれに続く人間たちに全てを任せ、更に奥へと進んで行った。そのころ、奥では、アースとエアの娘が生まれていたのだが、赤子の鳴き声は聞こえていなかった。

「エア様、お生まれになったんですか?」

「えぇ、そうね……」

 リイナは、ゆっくりと近づいてくるニークにその赤子を見せると、ニークは驚愕しその場に崩れ落ちた。


 ニークが絶望している中、一人の冒険者が、洞窟へと入ってきていた。

「りいな、大丈夫?」

 それは、心配してリイナの顔を見に来たヒビキだった。ヒビキは、3人が固まっていることに不審に思いながら、

ゆっくりと赤ん坊を抱きかかえて座っているリイナに近寄った。


 赤ん坊はまだへその緒を通じてエアに繋がっていたが、体の左半身がなかった。それでも魔王の娘として、エアと繋がっているためか、なんとか生存しているようだった。

「エア様……」

 ニークが小さく呟いている中、リイナがヒビキに向けて決意を告げるのだった。

「ヒビキ……

 この子がわたしの半身だよ。

 わたしにはわかる。

 ヒビキが探してた、もう一人のわたし……」

「そ、そうなの……」

「そう……

 エア様、この子わたしと融合してください。

 そうじゃないと、この子は、死んじゃう」

「でも、それだとあなたも今のままでは済まないわ。

 それでもいいの」

「いいんです、

 そのために、わたしたちは、ここに来たんですから。

 ね、ひびき」

 ヒビキは、彼女からの発言で頭をパニックに陥り話している内容は理解できずにいた。

「わかった。

 このままでは私の子はなくなってしまう。

 ありがたい申し出と受け取ろう」

 エアは、魔法を唱えると二人の体は空中に上がり光の玉が拡がると光の粒子の中に吸収されていった。それはいったん分解された後また人間の形へと変わって行くように見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ