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借りを返すために

 ヒビキとアースは、ゆっくりと向かってる軍団にむかって歩き出した。

 エアとリイナがいる洞窟の前ではニークが座って、敵が来ないことを祈っていた。


 遠目で吉原は、大きな神様とヒビキを見つけると軍団の中央でにやけた。彼の中では、既に神様討伐に意味がなく

最後の戦闘相手に選んだだけだった。それが、前回の戦闘で苦痛を味わされた相手を見つけリベンジを図るにはちょうど良かった。

 スキルを発動し、二人を止めようと手を構えてみたが周りをメンバーが邪魔で発動に意味はなさそうだった。

「だれか、知らないが、こちらを攻撃する一人をふまえて3人。

 100人以上を相手には、足りないぞ。


 さぁ、お前ら、全員で二人をたおせ!」

 吉原を囲んでいたメンバーは、一方的に攻めるのは慣れていたが、攻められるのは慣れていなかった。荻原の見えない攻撃でフラストレーションをためていた彼らは、その怒りをヒビキと神であるアースに向けられた。


「おら、2人っぽっちじゃ、たんねぇが、

 いくぞ、お前ら!」

 吉原とは別の副リーダが声を掛けると一斉に、走り出した。ヒビキは、アースに吉原のスキルを伝えようとしたが彼の眼は全てを理解していると語っていた。


 そのころ、炎の魔王と関は、順調にTRTのメンバーを光の粒子へと変え、現実の世界へと戻らされていた。半刻もしない間に、半分のメンバまで減っていた。

 炎の魔王は、一緒に戦いながら自分のよりも多く倒して言ってる関を感心していた。

「うむ、お前もやるじゃないか」

「それは、背中がむずがゆいな。

 魔王に褒めてもらえるとはな。

 だが、俺の場合、敵が減るほどに苦戦するからな」

 炎の魔王は、彼の発言に気を留めることなく正面でレーザ光線を出してきた相手に跳ね返した。相手はぎりぎり避けて安堵したところに、関が背中から斬りつけると光の粒子へと変わって行った。


 TRTのリーダは、まだ余裕の笑みを浮かべていた。関のスキルは知られており、仲間が減らない限りこちらのダメージが通らないことは、判っていた。それでも、かすり傷は可能なのか見ていたが、一つも付いていなかった。

「まだ、まだ、厄介だな。

 とはいえ、俺もそろそろ攻撃にまわるかな……」

 TRTのリーダのスキル超高速によって、瞬間移動したような速さで動いていた。炎の魔王は見えない攻撃によって背中にいくつもの傷を負い始めた。

「く、奴は、強いな」

 やみくもに何度となく、両腕を振り回したがリーダは容易くカウンターで攻撃を食らっていた。

 関は悩んでいた。他のメンバーを倒すことは容易い、他の副リーダの飛行や絶対防御など、後で同とでもなりそうだった。だが、倒せば倒すほど、自分は弱くなりぎりぎり目で追える状況がわるくなるのが怖かった。

「ははは、これでも食らいやがれ!

 火炎地獄インフェルノ!」

 それでも、炎の魔王が放った必殺魔法インフェルノにより、闘技場が炎で埋もれると、空を飛んでいた副リーダ。それにしがみついたリーダー、そして絶対防御のメンバー以外は、あっという間に消え去った。


 すべての力を使いきった炎の魔王は、その場に蹲りゆっくり倒れていった。

「すまんが少し休む、なんとかしてくれ」

 炎の魔王によって、関の周りだけ炎が来なかったことで彼もまた生き延びることができた。関は自分の不甲斐なさを売れいたが、頼まれた以上、藁にもすがるしかなかった。彼は、現実世界のサポータに連絡を取ると、水の女王候補を連れて行った二人の部下を呼び戻した。


 TRTのリーダは、全てを焼き尽くし力を使い切った炎の魔王は、後でいくらでも倒せると判断し、その場でこちらを見つめている関に向けて超上空からの超一撃を放って倒すことに決めた。

 副リーダを何千メートル上空まで持ち上げさせると、抱きよせたまま一直線に地上にいる関の胸に直刀の前に落下速度を上げていった。間もなく高速近くまで速度を上げていたが、それでも、TRTのリーダーのスキルのほうが早かった。百メートルをきり、勝ちを確信した彼は笑みを浮かべたころ、関を中心に白い光の円陣がかこっていた。何事かと思った時には、彼らは関のもとではなく、地面へと激突し一瞬で光の粒子へと変わって行った。

「あーー、危なかったですね、関さん」

「ほんとですね。

 急に呼ばれたときどうなってるかって思いましたが、

 どうやら間に会ったようですね」

「あぁ、助かった」

 彼女のスキルによって、全てのスキルを無効にされたTRTのリーダーと副リーダは、飛行の能力を失くし勢いのまま地面へと墜落したのだった。そして、最後にのこった絶対防御をもったスキルの彼も、無効にされるとあっという間に関に現実世界へと戻された。

 炎の魔王は、ようやく少し回復したようで、肩を借りながら、立ち上がった。

「あぁ、やるな、お前ら。

 助かった。

 悪いんだが、俺を助けてくれないか?」

「なんだ、まだ、必要なのか?」

 関たちは、炎の魔王から神様へ助っ人を依頼されると、他に誰がいるか聞いた。

「あの時の借りが返せますね」

「あぁ、借りっぱなしじゃ、名が廃るしな」

「ですね」

 ようやく意識を取り戻した水の魔王候補が、炎の魔王を回復させると、窮地に陥っている二人に向かって走り出したのだった。 

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