魔王の都市に向けて移動開始
ヒビキとリイナは、スノォの馬車の運転の元、他の人にばれないように幌の中で静かにしていた。スノォから魔王のいる大都市に行くまで中都市と二つの村を経由する旅路だった。途中の村でTRTのメンバーが傍若無人振る舞いをしていることが、情報として彼女の耳にはいっていた。最初の村でも同様に、居るだろうと思っていたのだが、既にTRTのメンバーは引き払い魔王がいる大都市に戻って行った。
「ここは安全のようね」
「そのようですね。
あそこの宿がとまれそうですね」
スノォの目の前には、村で3件しか存在しない中の一軒だった。どの宿も大きくかわらないためヒビキたちは一番近い建物にはいっていった。
夕方であったため、宿から村を幾つか周って空いている店を見て回った。
「品物は結構品切れ起こしてるね」
「全部買い占めてったみたいね」
「残念だな」
「あるよ」
武器・防具屋の女将は、一番のスキルをもった品物を残していた。それは、特定指名であり多対一を指名して戦闘が行えるといったものだった。ヒビキは、今後も大多数で戦闘になると分かるとこのスキルが付いた剣を買い取った。もちろん、リイナのお金でだったのだが。
「そんなのどこで使うんです?」
「う~ん、わからないや」
スノォが疑問を持って質問したが、ヒビキにも理解はできなかった。それでも、リイナはヒビキが頼みごとをしてくることを喜びお酒を飲みながら、幸せに浸っていた。スノォの質問をヒビキが答えている間に結構な時間になると明日も朝が早いことから、各々の部屋で眠るとこになった。
朝目が覚め、まだ村が寝静まっている中、3人は静かに出発した。一日かけてこの村の十倍に近い大きさの都市に向かっていた。一日かければちょうど夜に到着予定だが、町の中にはTRTのメンバーが多くいることを考えると通過する必要があるかもしれないと考えていた。道中でいくつかの魔物が現れたが、リイナが片手間で魔法を放つとあっという間に倒して回った。平和であり、暇な時間が過ぎお昼になると、開いている場所を見つけスノォの手料理をいただいて景色を眺めていた。
休憩を取りながら旅は順調に進んでいた。夕方手前には、中都市に到着することができた。手前の森に馬車をしまうと、スノォ一人で、町の様子を見に行くことになった。しばらく暇を持て余していたリイナとヒビキは、スノォには悪いと思いながらも、町に向かって馬車を進めるのだった。
町の中は、想定と違って活気で満ち溢れており、祝いのような喜びに満ちていた。入口の馬車留めに馬車を止めると、スノォがいるはずのギルドへと向かった。中では、広い大きな建物に似つかずだいぶ人が少なく目当てのスノォが楽し気に談笑していた。
「もう、二人とも私が戻るまで隠れてるってことなのに」
「ごめん、あまりにも暇で」
ヒビキが誤ると、ギルドの職員が二人を取り囲んだ。スノォがヒビキとリイナの事を英雄のように話したことで英雄譚を聞きたいと集まってきたのだった。何度かあったこの展開にリイナもヒビキも頭を描くしかなかった。だが、TRTのメンバーは一日前に慌てて町を引き払ってでて行ったようで、町は久しぶりの暴虐からの脱却で祭りの時のように沸いていたのだった。ギルドのメンバーも、徐々に冒険者が集まってきており今後は忙しくなりそうだったが、まだ最盛期にはほどとおかった。そのため、暇つぶしのスノォの話を聞いて楽しんでいた。
ギルドを早めにしめるとギルド全員で酒場へとでて行った。おすすめの酒場であったため、全ての料理がおいしかった。リイナとヒビキを取り囲みこれまでの話を楽し気に聞いているため宴はいつまでも終わりそうになかった。