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亀に乗ってどこまでも

 ヒビキとリイナは、超上空からTRTのメンバーを眺めていた。ふたりのバードマンは上空の風に乗るとほぼ大陸の先端の小さな村をめがけて飛んでいた。それは、大陸から見ると遠回りに見えたが、次の目的地である土の大陸に行くための秘密の抜け道があった。

 バードマンの二人は点よりも小さな村を発見するときりもみしながら急降下で降りて行った。二人にはいつもの事だったが、初めての経験の二人は途中で目をまわすと地面についた時には、そのまま地面へとへたり込んだ。

「ちょっとやっちゃたね」

「そうだね。二人を置いて長のところに説明に行こう」

 既に返事もできない二人をその場に残し、鳥人族の二人は亀人族をたばねる長のもとに説明にいった。亀人族の長は、魔王の死亡の報を聞くと悲しみに大粒の涙を流した。その後、バードマンから大陸の危機を聞くと亀人族総出で協力すると名乗り出た。二人の冒険者が土の魔王がいる大陸に運ぶことを誓うと倒れこんでいる二人の元に向かった。二人に長老の流した涙を振りかけると、薄い膜が彼らを包み込んだ。

「これで、水の中でも息ができるようになるぞぃ」

 だいぶ回復した二人は、バードマンに別れを告げると亀人たちに連れられて砂浜に連れられていった。上空では二人のバードマンが様子を見ていたのだがヒビキの肉眼では見ることができなかった。

 半信半疑だった二人だったが、長老の言葉を信じ、亀人族の若者と一緒に海に潜っていった。二人を包む膜は消えることなく空気をもったまま一緒に沈んでいくことができた。とても不思議なことに膜は力を籠めると自由自在に形を変え、亀人に触れても膜が消えることがなかった。泳ぎの美味い亀人に捕まると潮流があるという場所まで連れて行かれたのだった。最初はゆるやかだったが、近づくにつれ激流となりかなりの力で亀人族の甲羅にしがみつかないとどこかに吹っ飛ばされそうだった。最初は海底の綺麗な海を見るだけの余裕のあったヒビキだったが、半刻もしないうちに周りの景色を見る余裕はなくなっていった。潮流の流れの強さに、リイナの手をしっかりと握りしめると、二人で飛ばされないようにしがみついたのだった。一刻も過ぎ体温もだいぶ下がって限界だと思ったのだったが、それが終わるのはあと数刻も先なのだった。


 その移動距離は、風の大陸の半分と炎の大陸を丸々横断するのだから徒歩だと数日はかかる距離なのだから、移動にかなりの時間がかかるのも仕方なかった。二人がようやく大陸を横断することができたのだが、土の大陸の中央まで行く予定だったが、ほぼ意識をなくしていた二人をみて、土の大陸の端の入口の場所に変更した。それでも、数日は、TRTのメンバーよりも早く到着できるはずだった。亀人は、疲れ切って気絶した二人の看病をしながら野営をし、朝を迎え元気に立ち上がった二人を見て亀人たちは自分の村へと帰って行った。ヒビキとリイナは、朝日を迎えながら亀人達の姿が見えなくなると、みえている小さな村へと歩き出した。


 村は、風の大陸での最初の村と同様にかなりの小さな村だった。いつものようにTRTのメンバーで荒らされていると想像していた二人だったが、特に荒らされている様子もなく平和そのものだった。

「ここは、安全のようね」

「そうだね、あ、そこにギルドっぽい建物があるよ」

 ヒビキが指さした先には、小さな建物にいつも見た木造の看板にギルドのマークが記載されていた。誰も使っているようにみえない建物の扉を開けると、そこには、なつかしい顔の白髪の少女が取り仕切っていた。ヒビキとリイナが名前を告げると全てを理解していたスノウは、にこやかに声を掛けた。

「スノウです。

 チャチャから話を聞いていますよ。

 リイナさんの体を探しにきたとか……

 愛ですね」

 スノオは、できぱきとギルドを片していき、その間もムラサキからチャチャ経由で情報を仕入れたことを語り、あらかた語りつくした時には、遠出の旅となる出発の準備が終わっていた。

「さぁ、馬車に乗ってください。

 途中でTRTのメンバーに見つかると危険ですからね」

 ギルド経由で情報は連携されており、要注意軍団に狙われている二人を助けるため、馬車を手配してくれていた。二人がきょとんとした中で、むりやり馬車に詰め込むと、この大陸の最大都市へと歩みだしたのだった。

ネタバレ山盛りのあとも、前作に興味があるひとは、こちらをどうぞ。

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