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門木との出会い

 ヒビキは現実世界で、妹が幽閉されているとも知らずに、新しい旅へと気分よく出発していた。魔王からは、新しい大陸へ行くには荒海を超える必要が有り大陸間には突風が吹き荒れ空での移動は危険とのことだった。町は聖都を模した大きな都市であったがどこにいってもTRTのメンバーと思われる冒険者がおり町を散策するのも大変だった。特に船着き場には、全ての船にTRTメンバーが張り付き、どうやっても手に入れるのは無理そうだった。

「ヒビキ、どうする?」

「困ったね、これは。空は、激しい風が吹いてるから飛んでも行けそうにないし……」

 そんな中、ぞくそくと大きな船に乗り込んでいき、どんどんと人が減っていた。大きな船が最後の一艘となった時、一艘の前には、いら立ったメンバーが一人の男をまっていた。その男は、数人分の買い物を買いに行かされていた。彼は、門木浩紀とき、数人の男は荷物を全て出させて中身を確認すると全て自分たちのバックにしまい数人でタコ殴りにしはじめた。

「おっせんだよ、さる」

「ほんと、つかえねえな」

「他が全部出発しちゃったじゃない」

「俺が頼んだ酒がすくないな」

「この飯まずそうだな」

 門木は、自分よりも年下に顎で使われていたが自分が戦闘に不向きなスキルを選んだことで周りからは臆病者と疎まれていた。それでも、皆の役に立ちたいからと買い出しに始めたことで、ずるずると下っ端へとなり下がって行った。

 酒がすくなかった男が門木を吹っ飛ばすと、数人が蹴飛ばし他は船へと乗り込んでいった。

「モンキー、お前は、その小さい船で追って来いよ

「ぎゃははは、さる。頑張って追いついてこいよ」

「きゃはは」

 彼らは、タラップを外すと脇に繋がれていた救命ボートを外し海に投げ捨てた。門木は、痛い頬をさすりながら自分を置いて行った奴らを地べたに寝ながら叫んだ。

「誰が、お前らなんかと一緒に行くか!!

 こっちから、願い下げだ!

 おぼえとけよ!」

「ははは、どうぞご自由に」

 眼に涙を浮かべている門木に、ヒビキとリイナは近寄ると持っているポーションで回復してあげた。

「大丈夫ですか?」

「ほんと、ひどい事をするのね」

「ありがと……あー

 あんたは、手配書にあった悪人!」

 ヒビキとリイナが顔を見合わせどういうことなのか聞くことになった。

「僕は別になにもしていないと思うけど……」

「お前を見たらすぐ殺せってTRTないで出回ってた。

 解放戦線のメンバもな」

「じゃ、あなたも僕と戦うの?」

「戦うわけないだろ、俺は戦闘なんてからっきしなんだから。

 それに、TRTの奴らとはもう二度と組みたくない。もう辞めたんだよ、みてたんだろ?」

「えぇ、すみません、助けられなくて」

「いいよ。回復してくれたんだしな」

 ヒビキは、寝ころんでいた彼を起こすと3人で自己紹介を始めた。すべてが終わった時には、大きかった船は小さな点になっていた。ヒビキとリイナは、辺りに流された小舟を探しに、門木はまた買い出しに走り始めた。門木は、ヒビキをこころの底から信じてはいなかったが、お金をリイナが簡単に渡し自分を信じていることがうかがえると、このままばっくれようかと思った考えを捨て急いで店へと走り出した。町の中にはまだTRTが何人もおり、ヒビキは目立つ存在だったからだ。

 かなり沖に流されていた船の紐を持つと、リイナを船に乗せ門木が来るであろう港へと戻って行った。簡単に買い出しを終わった門木は、海を見ながらしばらく待っていた。一刻以上過ぎたところで、担がれたのかなと思い始め自分の馬鹿さ加減に嫌気がさしてきたところで、小さな点が見えてきた。それはヒビキが空を飛びながら、彼よりも大きい船を強引に引っ張って向かってきていた。空を飛んでこっちに向かってきているヒビキをみて、門木は驚愕してみまもっていると、驚いている中であっというまに自分の目の前まで到着した。

「ヒ、ヒビキ君は、空がとべるんだね?」

「ええ、二人、三人なら飛んで大陸までいけるんですけどね。

 海上ぎりぎりだと、何があるか判らないし、上はかなりの風で進んでいけないんですよ」

「……そうなんだ。じゃ、船しかないね」

「ええ、さぁ行きましょう。

 暫くは、僕がひっぱっていくんで、もしかしたら、さっきの船に追いつけるかも」

「それは、無理よ、ヒビキ。

 夜になったら、私がすすませるから任しといて」

「え、リイナも飛べるの?」

「そんなわけないでしょ。人間が空を飛ぶなんて、ありえないわ」

「だ、だよね」

「モンキも早く乗って、後はヒビキに任せましょ」

「はい、リイナ、ヒビキ君」

「ヒビキでいいよ、じゃ出発!!」

「「おー!!」」

 ヒビキは、直ぐに船をUターンさせると間もなく日が落ちそうな航海を開始したのだった。一刻程進むと直ぐに沖に代り高波がヒビキたちの船を襲った。それほど筋力がないヒビキは、船の揺れと同調するように上下左右へと引っ張られていたが、それでも順調に前進で来ていた。時折襲ってくる魔物に門木は怯えていたが、リイナがアイスニードルで簡単に倒していた。門木は、二人が自分とは比べ物にならないほど強いと知ると、下っ端根性が徐々に生まれてきた。

 陽が落ちはじめ夕焼けになるころ、一旦休憩として飛んでいたヒビキが船に戻ってきた。門木は、二人の食事と飲み物を渡すと二人はお礼を言って食べ始めた。

「ヒビキさん、リイナさん、こちらです。

 数日分はありますんで、お代わりが必要なら言ってください」

「もう、カドキさん、ヒビキでいいですよ」

「そうよ、モンキ。

 買い出しにいってくれたおかげで美味しいご飯に授かれるんだし、ね」

 門木は、後ろを向くと涙がこぼれていた。ここ数日頼まれることが当然のように接しされ、お礼など言われたことがなかったからだった。二人に涙を見せぬように一気にふき取ると、笑顔で向かい合った。

「いいんだ。俺がそう呼びたいだけだから。

 そうそう、きになったんだが、二人は付き合ってるんだろ。

 俺は邪魔じゃないかな?」

 門木の質問で恥ずかしそうにする二人を見て、どのくらいの中の良さかをはかり知ると、これ以上は意地悪かと思い話題をかえたのだった。

「少し先に大陸が見えたんで、あとすこしですかい?」

「同じくらいかかりそうだから、数刻かかると思う」

「じゃ、夜明けになりそうね。

 この後は、わたしが船を引っ張って行くから、

 ヒビキは、休んでて」

「え、リイナが?

 だって、飛べないでしょ」

「ふふふ、ヒビキが飛んでる間に秘策を考えたのよ。

 これとこれを船に合成して」

 リイナが手渡したのは、どんなことがあっても倒れないバランスのスキルが付いた胴の剣とまっすぐ飛ぶスキルの付いたパチンコの玉だった。ヒビキには、合成してもそれが船の移動に使えるのか不思議だった。門木は、リイナが言っていることが全く分からなかったが、ヒビキがアイテムを船に吸い込まれるようになくなり船の一部が金属でおおわれると腰を抜かして驚いた。

「な、なんじゃ~」

「カドキさん、これは秘密で、お願い。

 リイナ、鑑定で確認したけどちゃんと二つ付いてたよ」

「ありがと、みてて頂戴!

 氷のアイスウィンドウ

 風玉ウィンドウボール!」

 リイナは、右手と左手で同時に魔法を放つと前面に氷の魔法を放ち、海面凍っていった。門木は船が乗りあがると狭い船骨で傾くかと思たが、右往左往に少し揺れただけでその場に立ち上がった。

「す、すごいな」

「でしょ、これがバスンスのスキルのおかげ」

 門木は、ヒビキの合成の力に対して発したのだがリイナが気分よくしてりいるので否定はしなかった。リイナが出した風玉によって帆は全開のままゆっくりと進み始めた。

「さすが、リイナだね。

 ちょっと疲れたから、少し休むよ」

「いいわ。任しといて。

 眼を覚ました時には、ついてるわよ」

 門木は、流石に言い過ぎだろうと思っていたが、滑るように突き進んでいく船はヒビキが曳いていた時の数倍で進んでいた。

「こりゃ、ほんとに数刻もかからずにつきそうだ」

 門木が驚いている中、先頭で海上を凍らせていたリイナが、門木を呼び出した。

「あれ、先に出発していた軍団のようね」

「ですね。

 だが……」

 その先には、空から怪鳥と巨大なクラーケンが戦っていた戦場に突っ込もうとしていた。船にはTRTの冒険者しかおらず、大きく迂回をするだけの技量がたりず突っ込むしかなかった。それでも、彼らは魔物ごときには負けず簡単に勝てると思っていた。クラーケンは、最後尾の船に忍び寄ると船に絡みついていった。イカの足を難無く倒していった彼らだったが、もう一匹が前方から現れると防戦になっていった。大きなマストと小さなマストの二本がおられると船は動かなくなりその場に漂うしかなかった。クラーケンは、船を離れ次の船へと襲いにかかっていった。イカがいなくなった船では、上空から怪鳥が音波攻撃によって動けなくなっていた。その中、海中から突撃魚により何度となく船底を攻撃されると穴が開き浸水していった。怪鳥の攻撃が終わった時には船は半分ほど沈み完全に沈むのは時間の問題だった。数人のTRTのメンバーが海に逃げ込み船が離れると、待ってたかのように上空から怪鳥が狙っていった。その様子はまさに地獄絵図のようだった。

「うげ、あんなのは嫌だな」

「そうね、でもわたしがいれば、あんなのちゃちゃと足してあげるわ」

「ははは」

 門木は、とても魔法使い一人では倒せると思えず、自信過剰の彼女に苦笑いを浮かべることしかできなかった。二刻後には巨大なイカは、4隻の大きな船を全て倒した。敵がいなくなって周りを見回すとかなり離れたところで高速で移動している小さな船を発見したのだった。異常を感じた二匹の魔物は、普段の海よりも冷たい海中を進んでいくのは、普段よりも遅いスピードだった。

「リ、リイナさん、魔物が迫ってきてます」

「そう、ほんとね。

 そろそろ大魔道士の片鱗を見せてあげるわ」

 二つの魔法を止め、魔導書を開きながら船の後方へと下がると必殺の魔法を放った。

 「海上流渦空天! 」

 彼女が魔法を唱えると、海面から二匹のクラーケンを巻き上げながら渦上に巻きあがっていった。徐々に上空に連れていかれ、400メートルぐらいの上空まで上がっったところで、確殺の魔法を唱えた。

 「――極雷曇天激!! 」

 続けて放たれたその魔法で、上空にいた二匹のクラーケンを囲むように膜が現れた。さらに幕の上空には、黒雲が拡がっていき無数の稲光が、二匹のクラーケンに向かって何度となく落ちると稲光が終わった時にはその空間には何も残っていなかった。門木は、目を見開き口を開けたまま腰を抜かして驚いていたが、彼らの後ろから、風を切り裂く音がやってきた。稲光の音できこえなかったのだが、2人がその音に気が付きときには、既に会長の必殺のかぎ爪が目の前に迫っていた。だが、一瞬でヒビキがその手前で黒赤剣を切り落とすと目前で真っ二つに斬り別れ、光の粒子へと変わって行った。門木は、殺される恐怖で失神する目前でヒビキが敵を倒したのを見て安堵しながら意識を失くしていったのだった。

「あら、気をうしなっちゃたわね」

「まぁ、寝かせといてあげようよ。

 あと一刻くらいで着きそうだね。

 引き続きリイナ、頼むよ」

「ふふ、いいわ。

 わたしの雄姿みてなさい」

 ヒビキは、船首に立ったリイナを見ながら、間もなく日の出を迎えると朝日に照らされた美しい横顔を眺め幸せに浸っていた。

ネタバレ山盛りのあとも、前作に興味があるひとは、こちらをどうぞ。

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