前作の補足
およそ一年前、神樹 響の妹、鈴音が一枚の書置きを置いて自宅からいなくなったのがきっかけだった。そこには、荒く書かれた文面に『心配しないで直ぐに戻ってくるくから』としか書かれていなかった。
当の本人は、親友を探しに旅立った妹が向かった先は、政府が管理する自殺者管理システム『SWTH』だった。
いくつものつてを頼り、最後は親友からの情報から、『SWTH』へ向かったことを知った響は、自殺志願者を一つに集め管理するそこへ、なぜ妹が向かったのか?そして、妹を救うため、どうしたらいいか苦悩していた。そこで、情報をもってきた親友である荻原雄介に相談すると、彼は、響では思いもつかなったつてを使い、反政府組織の解放戦線へと潜り込むことに成功した。解放戦線では、自殺者管理システム『SWTH』に入った人間を解放するために動いている反政府組織だったが、あまりにも規模が小さいため、気にも留められていなかった。だが、十年以上前に、第一エリアを解放してからは、全国規模で有名となり人数は徐々に増え何倍にも広がっていった。政府も同じつてを踏まないために、ヴァージョンアップを行ったことで、何度となく第二エリアの解放に失敗し続け、失望者が続出しどんどんと規模は縮小へと向かって行った。
それでも、一度は解放したこともあり、荻原は可能性を求めて響より先に入り状況を窺っていた。中は年配者と古臭い機器が並んでいた。天才 荻原は、全ての機器とシステムを一新しソロシステムから、サポートシステムを用いたシステムへと更改した。だが誰も使おうとしないところから、サポーターとして響
を呼びつけた。響の目的だった妹の奪還が行えると喜んで参加するのだった。慣れないシステムだったが直ぐに攻略ポイントを見つけると、数週間も立たずに、十年以上攻略できなかったダンジョンを踏破し魔王すらも討伐することができた。こうして二人は、解放戦線の中で確固たる地位を確立した。
その後も順調に3人の魔王全ての討伐に成功すると、最後の神と対峙することになった。周りでは、英雄扱いされ、それに付随するかたちでどんどんと参加者が増えていった。統括である蒲生は、大いに二人を讃え次世代の統括候補と考え認めていた。数日の長期戦でようやく神を攻略すると魔王を含めたAIの管理者の全てが倒れ、第一エリアと同様に『SWTH』システムはリセットされる予定だった。リセットされることで、そこに参加していた人すべてが現実世界へと戻ってくるはずだった。だが、『SWTH』システムは強制シャットダウンされネットワークからも孤立すると、外部から見えていた生命状態はロストし全員が死亡で表示され、直ぐに状態すらもみることができなくなった。一刻後、実行部隊のリーダーであり、副統括だった関から、救済者の全員死亡と解放の失敗が全員へと伝わった。実際は、管理者が不在になった際には、再起動により一からのシステム構築を行うはずだったが、システムのバージョンアップのバグにより再起動失敗によるリカバーができなかったのだった。そのすべてを解放戦線のせいにして世間へと公表することにしたのだった。
その一報が、解放戦線へ到達しさらなる分裂ことになった。統括だった蒲生は、全ての責任をとり、本体から離れ、第三エリアへの先行隊へと移動し、副統括の関が本体を受け第二エリアへの解放をひきついたのだった。統括になりたがった関は、政府と繋がり情報を売ることで解放戦線のせいにする案を提案したのだった。英雄は不要と感じた彼は、荻原と響を追いやるため責任を3人へと転嫁したのだった。周りも誰かのせいにしたいことから、つながりの薄い二人へと攻め、悪魔と罵られた響は、耐え切れず解放戦線から離脱していった。
実際は、本来助けられるはずだった妹も、死亡者一覧にはいっており自分が死に追いやったことを後悔したからだった。家で引きこもっていた響は、両親から空気をかえたほうがいいということで祖父の実家でしばらく暮らすことになった。だが、悔やむに悔やみきれなかった響は、自ら自殺者管理システム『SWTH』へ向かったのだった。
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