01 〜異世界高校入学編〜 「悪魔の末裔」
〜異世界高校入学編〜 「悪魔の末裔」
世界は、一つしか無い。そう言いきることができるであろうか…
他の世界を見たこともないのにそんなことは言いきれないだろう…
「やっと、卒業か!」
勢いよく教室を飛び出してきた少年の頭の中にはこれから行く打ち上げの事しかないらしい。
「卒業か!じゃないわよ。卒業式でみんなが泣いてる中、大きな鼾かきながら寝てるのは…」
「カズヤ…本当、アンタ馬鹿なの?」
後ろから力強い女子の声が聞こえた。
金髪の彼女は、外国人かハーフのどちらかなのだろう…
「うるせぇーよ。エレナ!眠い時に寝て何が悪いんだよ!」
そう言い返すと、逃げるようにカズヤは廊下を走っていった。
「今日の打ち上げって6時半に駅でだよねー?」
エレナがそう叫ぶと、カズヤは無言で手を振った。
その様子を羨ましそうに見つめる美しい花恋は、どうやらカズヤの事を好意的に思っているらしい…
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
卒業式の後で記念撮影をやってる中、
校門の前で、待ち合わせていた男子生徒と一緒にカズヤは帰ろうとしていたのだが、隣の男子生徒から衝撃すぎる一言を言われる…
「ーーお前、カバンどうした?」
カズヤは一瞬、何を言われたのか分からなかったが持っいると思っていたカバンが無いことに気づきものすごいスピードで取りに行った。
ーーーPM 6:25 駅前広場ーーー
中学校、卒業の打ち上げにくるメンバーはほとんど集まったらしい。そこには、ノリノリのカズヤの姿も見える。
だが、そこには先程のエレナが居ない。まだ、集合時刻前なので来ていないそうだ。
ところが、集合時刻を3分上回った6時33分になっても彼女は現れない。
「あいつに電話してみる!」
カズヤは、卒業祝で買ってもらったスマートフォンを使い電話をするが、彼女は出ない。
「あいつの家、こっから近いから俺呼んでくるよ!」
そうカズヤが言うと花恋が私も!と言い、走っていったカズヤの後を追いかけていく。
カズヤは、二年生の時に校内の持久走大会で優勝経験がある。そんな足の速いカズヤにも負けずに花恋もとても早い。花恋は、女子テニス部のエースだ。県大会5位の実力者だ。
エレナの家の前でカズヤと花恋が叫ぶ。
「エレナー!」「エレナさーん!」
反応は皆無だ。いくら叫んでも返事が無い。カズヤは、馬鹿だ。馬鹿なりに
考えた。そこでカズヤが思いついた。
「インターホンを押すんだ!」
カズヤは自分のアイデアがとても良いと言う事にとても満足感を覚えていたのだが…
否ーーーそれは誰にでも思いつく答えだった。カズヤが必死に考えてる間に花恋は、エレナを連れて家から出てきていた。
「本当にごめんなさい!」
エレナが頭を下げたが、そんなことより早く行こうと、再び駅に向かって走り出す。
駅に向かって走り出す途中でカズヤがエレナに遅れた理由を聞くと
「ごめん、来てく服が決まらなかった」と笑いながら言った。
「途中で制服で行くことを思い出して…」
そんな笑い話をしながら商店街を走っていく…
腕時計の針が6時43分を指した時だった。通りかかった八百屋からリンゴを大量に取って走っていくおじさんを見つけた。
後ろから、隣のクラスだった斎藤一が追いかけていく。彼は、この八百屋の店主の息子だ。
3人も迷わず、林檎泥棒を追った。
林檎泥棒は暗い路地の中に入っていく。カズヤ達も路地に入ると、林檎泥棒がブツブツ何かを唱え始めた。
「おっさん、気味悪いぞ!さっさと林檎返せ!」
カズヤが叫ぶと、ハジメはりあの目を睨み付けながら
「お客様、そちらの商品はまだお会計が済んでおりません。」と強めの口調で言っているのだが、
カズヤとハジメのことなんか聞かずにまだ何かを唱えてる
「コ…ヴィ…オ…ス」
恐らく、唱え終わったのだろう。
次の瞬間、地面に魔法陣の様なものが映し出された。
「嫌な予感しかしねぇ…」
バカなカズヤにもそれは察することが出来たようだった。
すると、4人は魔法陣の中に吸い込まれて行った。