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色縁  作者: たんさんりんご
2/8

プロローグ

「なあなあ(かおる)ー。お前さ、“裏生徒会(うらせいとかい)”って知ってるか?」

「……ラノベかなにかですか?」


 ある日の昼休み。

 第一志望であった荏杢(えもく)高校へ入学してから既に二週間。

 授業も始まり、徐々に高校生活に慣れ始めた頃。

 碓氷(うすい)薫は目の前でパンを齧る友人、野田(のだ)攻介(こうすけ)の言葉に思わず顔を顰めていた。


「まあそう思うよな〜。オレも最初聞いた時は「どこのラノベだ!?」って思ったよ。でもさ、聞いてみると案外おもしれーの!薫もそういう話好きだよな?」

「うん。それ、七不思議か何かなの?」

「ふっふっふっ……。説明しよう!荏杢高校に存在すると言われる“裏生徒会”とはな……────」


 ────学校内の問題児達が集まった、「何でもあり」な奇想天外な奴らの事なんだ。

 目付きの悪い戦闘狂に、手癖の悪い嘘つき、明るくKYな断罪人。

 彼らは人知れず、武器片手に「何か」を狩りとっているらしい。


「うわぁ……」


 聞き終えた薫の口から引きつった声が出る。

 思った以上に、どこかにありそうなチームである。


「これまたありきたりな……」

「それは思った。まあただの七不思議だし、そこまで深く考えたらつまんねーって!第一、高校生が当たり前の様に武器振り回すとかおっかねぇよ」

「武器によっては、割と簡単に手に入れられるよね」

「怖い事言うなって……。そんな物騒な人達と同じ学校通いたくねぇよ……」

「もう通ってるけどね」


 冷静にツッコミを入れ、薫は再び箸を進める。

 昼休みの終わりも近づいてきているため、早くお弁当を食べ終えねばならない。


「……薫ってさ〜」

「ん?」


 薫と同じようにパンを食べ始めた野田がつまらなそうに口を開く。


「こういった話は好きなくせに、妙に冷めてるよな〜。なんていうの、ロマンチストだけどリアリストみたいな。デートとかで、イルミネーションサプライズやるけど、費用気にして大半は自分で用意しちゃうみたいな。おまけにその事、ムードとか関係なしに彼女の前で喋っちゃうみたいな」

「何か分かるような分からないような例え方するね……」


 とはいうものの、野田が言わんとする事は分かる。


 確かに薫は「非日常」に憧れている。

 科学が充実した世界で、それぐらいの夢を追うのはいいだろう。

 だからといって、漫画や小説のような命懸けのアドベンチャーは御免だ。

 どこか冷静な自分は、命を危険に晒すリスクを避けたいと思っている。

 この考えが、野田の言うリアリストの部分なのだろう。


(我ながら微妙だよな……。でも、本当に実在しているなら僕を巻き込んでくれないかな)


 そう都合よく行かない事はわかっている。

 チラリと窓の外を一瞥し、薫は最後の一口を食べて弁当箱に蓋をした。



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