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エンドレスフール   作者: 和銅修一
20/21

咲の楽しいギミック講座

 使われていない会議室。そこには二人の姿があった。

「は〜い。ギミックってどんなの〜。よく分からな〜いという人の為に〜この天門 咲が教えていきたいと思いま〜す。今回のゲストはリブリブで〜す」

「今回のゲストということは次もあるのかこれ。まあ、私から頼んでこうしてもらえているのだから文句は言えないか」

 そう、この講座はリブルが玄馬にギミックのことについて色々と教えてほしいとお願いした結果だ。自分の知っている情報と一致しているか、これは玄馬たちが獲得してきた情報が正しいものかどうかを確かめることになるのですぐにOKが出た。

「ぬ〜、テンション低いわよ。もっと上げてこ上げてこ。ほら、ニューヨークへ行きたいか〜」

「いや、もう行って来たからいい。それよりも話の続きを……」

「罰ゲームは怖くないか〜」

「え!この講座間違えたら罰ゲームがあるのか」

「そんなことないよ〜。ただ流れで言っちゃっただけ〜。別に何もないよ〜」

 というか、講座をするのに罰ゲームは酷すぎるだろう。

「そ、そうですか。では早速聞きたいことがあるのですが」

「いいわよいいわよ〜。順番とか気にせずどんどん質問してきて。出来るだけのことはお姉さんが教えてあげるから〜」

 張り切っているようで体を上下に揺らして胸をバインバインと動かす。

「では、まずこの世界についてだ。本来人間が住んでいた世界はエイプリルフール。つまり四月一日を永遠と繰り返しているようだな」

 そこに行ったことないのでどうなのかは良く知らないが誰かからそう聞いた覚えはある。

「そうね〜。誰が何の為にそんなことしてるかはまだ分かっていなんだけどずっと四月一日を繰り返されているの。その時に使われているのもギミックね。だけどギミックは世界にとって毒みたいなものでこれがこのまま続くとその毒に耐えられなくなって崩壊しちゃうの」

 ほとんど玄馬の受けおりだが彼女の言葉で説明するよりかはマジだ。

「そうか。しかし、この世界については調べているのか?どうやら元の世界に戻り方法も分かっていないようだが何か分かっているのか」

 世界を崩壊させない為にこの世界にに残っているのならカッコいいが実は帰れないからここで仕方なく頑張っているという人も少なくはない。

「う〜ん、そうだね〜。ゲンゲンたちが必死なって調べてるけどまだ帰る方法は分からないみたい」

「そうか。ならアラルについてはどれくらい知っている?」

「え〜と、私たちよりも前にここにいて人間を滅ぼそうとしている悪い奴らかな〜。でもいろんな人がいて私は面白いと思うよ」

「だが劣勢なんだろ」

 ただでさえループを抜け出してここに来れた人は少ないのに更に戦えるのはギミックが使えるほんのわずかだ。不利になるに決まっている。

「そうなんだよね〜。アラルは私たちと違ってギミックを溜めるのに長けてるからね〜。はっきり言ってキツイところね〜」

「だろうな。だから各自のギミックを上手く活用して乗り越えなくてはいけないな」

「そうだね〜。たとえば私の未来予知なんかで敵の動きを把握したりなんしてね〜。そうだ。リブリブは他のみんなのギミックを良く知らないよね」

「ああ、そうだがいいのか?仲間となったとはいえ私はアラルだぞ」

 裏切ってその情報を漏らしでもすれば早乙女研究所メンバーは全滅となるだろう。

「いいのいいの〜。それじゃあ誰のギミックから聞きたい?」

「そうだな、やはり主のものかな」

「う〜ん。なんか色んな形に出来るみたいだけど良く分かんない」

「そ、そうか。なら千景はどうなんだ。溜めるのに時間がかかると聞いたが」

 溜めが長いということはそれだけ強力な技が出せるということだ。

「う〜ん。それも良く分かんない。なんかギミックを口から大砲みたいにドカーンって撃てるらしいけどそれ以外はさっぱり〜」

 何だか空気が重くなっていく。立て続けにそんな二人の事を聞いてしまった自分が悪いのか?と思いつつ話を続ける。

「あの仁という男のギミックならどうだ。一度戦ってみた事があるがなかなか凄かったぞ」

「あ〜、ジンジンのは溜める時が変わってわよ〜。もしを使って話せばいいだけだもん。まあ、私も同んなじような感じなんだけどね」

 そういえば咲が溜めている時など見たことがない機会があるのなら一度見ておきたいものだ。

「たしかイフトリガーだったか、機動力に長けていて建物の多いこの街では最適なものかもしれないな」

 何かに当てて方向転換ができるが、何もない空間で戦うことになったら敵に当てるしかなくなる。つまり物が多いところがイフトリガーが有利になる条件なのだ。

「そうだよね〜。折り曲げるとスピードが増すし地面に潜らせることも出来るんだよ。でもね、リブリブが戦ってた時はマックスまで溜めてなかったんだよ〜。もし溜められてたらどうなっていたか分からないわよ〜」

 それは祐も言っていたことだが本当にどうなっていたか分からない。

「そうかそれは頼もしいな。ではあの祐という者も強いと主から聞いたぞ。なんでも肉体派たどか」

「ああ、リブリブは肉体強化見たことないんだ。あれは万能だよ〜。反射神経とか視力とかも良くなっちゃうんだよ〜」

 地味だが難点はほとんどない。嘘は見た目で簡単に溜められるようになっている。

「ほ〜、主が褒めることだけはあるな。しかし可愛い可愛いと言っていたがもしや……」

「あら〜、もしかして嫉妬〜。熱いわね〜」

「べ、別にそんなんじゃない。ただ主が腑抜けにならないようにしないといけないと思っただけだ」

「ふ〜ん、そんなこと言ってるとハルハルが……」

「ツンデレ萌えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 咲の予測通り、ドアを開けて現れた実はそれだけ叫ぶと音を立ててそれを閉めて何処かへと消えてしまった。ちょっとした通り魔だ。

「な、なんだったんだ今の」

「さあ、でもこれで研究所にいるギミックが使える人については全員教えたわよ」

 実、千景は例外として咲、仁、祐と説明は一通り済んだ。

「だがアラルについてはまだだろう。今までに出てきた者について教えてほしい」

「あ〜、そうだったわね。だったらライダーっていうのは人形を使ってそれを操ったり、グニュグニュしたスライムみたいなのを動かしていろんな事が出来るみたいね」

 ちょうどリブルは見たことがないだろう。あのトラ……変形を。

「私から無月を奪おうしたやつか。気に食わないな。何かに寄生してお前たちを騙していたんだろ?」

 あの時はバイクだった。今度は何でくるか楽しみ……じゃなくて何でくるかわからないから気をつけなくては。

「でも、騙すのってアラルにとって当たり前の事なんじゃないの?ゲンゲンがそれが奴らの生きがいだとか言ってたけど」

「確かにそういやつもいるが、大抵は人間と同じで性格とか個性がある。全員がそうというわけではない。臆病な奴もいるし、無駄に元気な奴とかアラルにもそれぞれだ」

 世界各地を回ってきた人が言うとなんだか説得力がある。

「そうなんだ〜。でもゲンゲンはその刀のことが気になって仕方ないみたよ〜」

「むっ。これは渡すわけにはいかんぞ」

 バッと体で無月を隠す。

「分かってるよ〜。でもそれってリブリブのギミックで動かしてるの?」

「いや、そうではない。無月が持っているギミックを使っているだけで私のなんて大したことはない。こうして生き延びれたのはこいつのおかげなんだ」

 長年の相棒なのだろう。それを見つめる目は何かを思い出して物思いにふけっている目だ。

「へ〜、大事なものなんだね。じゃあハルハルと無月どっちが大事?」

 ストレートな質問。咲はちょっと抜けているので相手のことはあまり考えず自分が気になって聞いてしまっただけだ。

「そ、そんなの決められるわけないだろ。どっちも大事だ。これで主を守るただそれだけだ」

「わ〜、ラブラブね。これはチカルンもうかうかしてたら抜かされちゃうわね〜」

「呼びましたか?」

「ひゃう!驚かさないでよ〜」

 突然ドアを開いて話題に上がった千景が現れた。

「なんでこんなとこにいるの〜。もしかして私の講座を聞きに来てくれたの?今からでも大歓迎だよ〜」

 参加人数は一人でも多い方がいい。というか一人だが。

「いいえ、それより先輩を見ませんでしか?こっちに来たはずなんですが見失いまして」

 かなり走ったらしく、息を荒げて肩を上下させている。

「一回、ここに顔を出してあっち側に走って行っちゃったけど、それがどうしたの?また何かしたの?」

 ここで問題を起こすなんて実しかいない。

「そうなんですよ!洗濯してたブラジャーを盗もうとしたんです。しかも咲さんのを。今から捕まえに行きますから叱ってくださいよ」

「え〜、ハルハルはなんか可愛いし〜別に減るもんじゃないからいいと思ってるんだけど〜」

「減りますよ色々!」

 まあ、詳しく言えないが必ずブラジャーが一つ減る。

「ん〜、何でそんなに怒ってるの〜。やっぱり自分のブラジャーが狙われなかったのがショックなの?」

「やっぱりって何ですか!私は急ぎますけどここにまた来たら捕まえておいてくださいね」

 そう言い残すとドタバタと廊下を走り去っていった。

「あらあら〜。リブリブはどうするの」

「これは自業自得だ。少し痛い目を見たいといけないのだ」

 なんだかそっぽを向いて怒っているご様子。

「ふっふ。ハルハルは人気者ね。じゃあもう教えることはないから咲の楽しいギミック講座はおしまいで〜す。次回があったらまたみてくださいね〜」

「咲。誰に言ってるんですか?」

 この会議室には二人しかいないが咲は誰もいない方へ手を振った。

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