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太陽系の外側  作者: 檀敬
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探査史

 二十五世紀の人類が関心を示しているのは『深宇宙』だった。

 『深宇宙』といっても、何億光年も彼方の遠い銀河の話ではない。二十五世紀の人類が『深宇宙』といえば、太陽系の外側、ヘリオスフィアを飛び出すことであった。

 まだまだ太陽系内を開拓し尽くした訳ではない。カイパーベルトやオールトの雲は、ここ数年探査が始まったばかりである。しかし、今や人類全体の関心事は『深宇宙』なのであった。

 どうして、そんなに『深宇宙』に関心が集まるのか? それにはそれ相当の理由があったのだ。

 過去においては、パイオニアに始まり、ボイジャー、ニューホライゾンズ、ファラウェイズ、エッジワース、セドナパスファインダー、オールトマスターなどの数多くの無人探査機が太陽系の惑星を探査した後に、太陽系の外側へと船出していった。ボイジャーの、太陽からの距離が九十AUの位置で末端衝撃波面を通過してヘリオシーズに到達、ヘリオポーズが深宇宙の磁場の影響で歪んでいる報告が最初の太陽系外縁部の情報だった。

 しかしそれ以降、火星以遠に向かう探査機の多くは原子力電池を搭載していたのだが、依然として太陽系の外側についての情報はつかめていなかった。原子力電池を三基積んだニューホライゾンズ、その後のファラウェイズからは大型探査機となり、マイクロ原子炉を積んで月の軌道から発進したのだが、ヘリオシーズの領域に至ると消息を絶ってしまうのだった。

 何しろ百AUも離れた距離から探査機が送り出す電波は非常に弱々しく、地球上だけで識別するのは事実上不可能と判断されて、地球と月でのVLAシステムで探査機からの電波を受け取ることも試みられた。

 近年においては、木星のISS(当時は基地と呼べる程ではなかった)から深宇宙探査に送り出されたオールトマスターには、プラズマバーストシステムを搭載してオールト・リボンの解明を託された。プラズマバーストシステムは、エンジンとして推進力を生み出すだけでなく、電力も賄うことが出来るシステムだ。電力不足はコレで十分に補えるはずだった。そして、地球、月、火星、そして木星のISSBでSVLA(超大規模干渉計)を構築し、探査機の電波を受け止めるには十分なはずだった。

 しかし、その期待されたオールトマスターは、百五十AUを超えてオールト・リボンを観測する矢先に消息を絶ったのだ。

 原因は不明だった。

 ただ電力不足が原因だったとは考えられなかったし、有り得なかった。その直前までのシグナルレベルは、針が振りきれるほどだったからだ。それはもちろん、SVLAのおかげなのだが。

 ただ、消息を絶つ直前のオールトマスターのデータには、多くのエラーが紛れ込むようになったのは周知の事実だったし、こちらからの指示にも正しい動作を行わなくなったことも真実だった。疑われるのは「機器の故障」であるが、それがどんな原因でどのように起こるのかはまったく予想がつかなかったのだ。

 そこで人類は、無謀と揶揄されながらも大胆な英断をしたのだ。それが、深宇宙有人探査船『ランナウェイズ』の建造であった。

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