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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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19/40

逃げた上位存在を追う俺、ついに“世界の外”へ踏み出す

 風が戻る。

 さっきまで折れていた空は、何事もなかった顔で広がっている。

 だがユウの目には、もう“表側”だけでは足りない。

 薄く、重なって見える。

 線。層。接続。

 世界は、一枚じゃない。

「……逃げたな」

 ユウが呟く。

 足元のスライムが微かに震える。

「上位個体、撤退を確認」

「場所は?」

「通常観測では追跡不可」

「通常、な」

 ユウは笑う。

 指先に、あの感触が残っている。

 “存在”に触れたときの、ざらついた確信。

「見えるぞ」


 ユウは一歩、踏み出す。

 地面にではない。

 “層”に。

 空気が、水面みたいに揺れる。

「待て」

 スライムの声が、いつになく強い。

「その先は——」

「外側、だろ」

 言い切る。

「だから行く」


 もう一歩。

 現実が、ズレる。

 音が遠くなる。色が薄くなる。

 代わりに、“接続”が濃くなる。

 世界を繋いでいる、無数の糸。

「……綺麗だな」

 思わず呟く。

 それは景色というより、構造。

 誰かが設計した、精密すぎる網。


「観測域、逸脱」

 スライムが告げる。

「帰還保証、消失」

「いいね」

 ユウは笑う。

「ようやく“上”に来た感じだ」


 そのとき。

 糸の一本が、震えた。

 逃げた上位存在の“痕跡”。

 微かな歪み。

「見つけた」

 ユウは迷わず掴む。

 ビリッ。

 指先が、別の層に引き込まれる。


 世界が、剥がれた。


 そこは——

 “何もない場所”じゃない。

 むしろ逆。

 “全部ある場所”。

 無数の光点が浮かぶ。

 それぞれが、世界。あるいは可能性。

 その間を、白い存在たちが行き交う。

 管理者。

 上位存在。

 そして——

 さらに奥に、巨大な“核”。

「……これが」

 ユウが息を吐く。

「外側か」


「侵入者、検知」

 同時に、声が響く。

 複数。

 四方八方から。

「規格外個体、侵入確認」

「排除——」

「違う」

 別の声が割り込む。

 より低く、重い。

「捕獲優先」

 一瞬の静寂。

 そして——

「“封印対象”」


 空間が閉じる。

 層ごと圧縮される。

 逃げ場なし。

「……歓迎ムードだな」

 ユウは肩を鳴らす。

 スライムが低く言う。

「完全包囲。数、十二以上」

「いいじゃん」

 むしろ好都合。


「全部、奪える」

 ユウの目が光る。

 静かな狂気。


 最初の一体が来る。

 人型じゃない。

 立方体のような存在。

 だが、動く。

 空間ごとスライドして接近。

「排除」

「遅い」

 ユウは消える。

 いや、“ズレる”。

 次の瞬間、背後。

 触れる。

 ビリッ。

「——!」

 今度は、はっきりと掴める。

 さっきよりも“理解”が進んでいる。

 ――《空間移動》断片取得

「いいな」

 そのまま引き裂く。

 立方体が崩れる。


 次々に来る。

 光。影。形のない何か。

 すべてが“敵”。

 すべてが“素材”。


「来い」

 ユウは踏み込む。

 《存在干渉》を使う。

 軽くなぞるだけで、相手の“輪郭”が歪む。

「これ、便利だな」

 笑う。

 もう“殴る”必要すらない。


「危険度、急上昇」

 スライムが告げる。

「上位存在の損耗、増加」

「当然だろ」

 ユウは次を掴む。

 奪う。

 壊す。

 統合する。


 数分後。

 周囲に動くものは、ほとんど残っていなかった。

 静寂。

 光の残骸だけが漂う。


「……雑魚はこんなもんか」

 ユウが呟く。

 だが——

 視線は、奥へ。


 巨大な“核”。

 さっきから動かない。

 ただ、見ている。

 すべてを。


「……あれか」

 スライムが震える。

「最上位」

「いいね」

 ユウは笑う。

 足を一歩、前へ。


 その瞬間。

 “核”が、わずかに脈打った。

 世界全体が、共鳴する。


「——到達、確認」

 声が響く。

 今までとは、桁が違う。

 深い。重い。広い。


「黒崎ユウ」

 名前を呼ばれる。

 正確に。

 完全に。


「ここまで来るとは思わなかった」

 感情はない。

 だが——

 確実に“興味”がある。


 ユウは笑った。

「そりゃどうも」

 一歩、さらに近づく。


「で?」

 軽く首を傾げる。

「お前が一番うまそうなやつか?」


 一瞬の沈黙。

 そして——

 “核”が、わずかに歪んだ。


「……理解不能」

 だがその直後。

「——危険」

 明確な判断。


「対応レベル、最大」

 空間が、閉じる。

 今までとは違う。

 逃げ場も、隙もない。

 完全な“檻”。


 だが——

 ユウは笑っていた。

 心底楽しそうに。


「最高だな」

 拳を握る。

 視界には、すべての構造。

 すべての接続。


「じゃあ——」

 一歩、踏み出す。


「いただきます」


 世界の“核”と、

 それを奪おうとする男。


 戦いは、ついに最深部へ。

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