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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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15/40

規格外認定された俺、ついに“世界の管理者”に目をつけられる

 夜。


 星がやけに近い。


 宿の窓から見上げる空は、薄いガラス越しみたいに静まり返っていた。


「……妙だな」


 ユウが呟く。


 音が少ない。風が止まっている。

 世界が“息を止めている”ような違和感。


「異常検知」


 足元のスライムが震える。


「周囲の情報密度、低下。観測層の歪みを確認」


「観測層?」


「“見られている”状態」


 短い説明。


 ユウは窓から目を離した。


「なるほど」


 つまり——


(向こうから来たか)


 口元が、わずかに上がる。


 次の瞬間。


 音が消えた。


 完全な無音。


 時間が止まったみたいに、すべてが静止する。


 だが——


 ユウとスライムだけが、動けた。


「空間隔離、発生」


 スライムが低く言う。


「外界との接続、遮断」


「便利だな」


 軽く肩を回す。


 準備は、問題ない。


「——対象、確認」


 背後から声がした。


 振り向く。


 そこに立っていたのは——


 “人の形”をした何か。


 白い。


 輪郭が曖昧で、光と影の境界が揺れている。


 顔もある。目もある。だが——


 感情が、ない。


「規格外個体、黒崎ユウ」


 機械みたいな声。


「排除プロトコルを開始する」


「……それが管理者か」


 ユウは興味深そうに見つめる。


 恐怖はない。


 ただの“新しい獲物”。


「質問を許可」


 管理者が言う。


「最適な理解のため」


「親切だな」


 ユウは一歩前に出る。


「なんで俺なんだ?」


「逸脱」


 即答だった。


「許容範囲を超えた成長」


「スキル干渉、上限突破」


「統合現象、未定義」


 淡々と並べられる。


「よって——」


 一拍。


「排除」


「シンプルだな」


 ユウは笑う。


「嫌いじゃない」


「戦闘、開始」


 その一言で——


 空間が歪んだ。


 管理者が消える。


 次の瞬間、目の前。


 手刀が振り下ろされる。


 速い。


 だが——


「遅い」


 ユウは横にずれる。


 ギリギリで回避。


 そのまま、触れる。


 ビリッ。


 衝撃。


 だが——


「……?」


 違和感。


「解析不能」


 スライムが即座に言う。


「対象、スキル構造を持たない」


「へえ」


 ユウは距離を取る。


「じゃあ、どうやって動いてる?」


「不明」


 つまり——


(普通じゃないってことか)


 むしろ好都合。


「無効」


 管理者が言う。


 次の瞬間。


 ユウの体が、重くなる。


「……っ?」


 力が、抜ける。


「スキル使用、制限」


「領域内において、上限を再定義」


 淡々とした宣告。


 《俊敏》が鈍る。

 《剛力》が弱まる。


「面白い」


 ユウは小さく笑う。


「ルールを書き換えてるのか」


「是」


 肯定。


「なら——」


 ユウは息を吸う。


「そのルールごと、奪う」


 踏み込む。


 重い。


 遅い。


 だが——止まらない。


 管理者が再び攻撃する。


 今度は避けない。


 あえて、受ける。


「がっ……!」


 衝撃が走る。


 だが、その瞬間——


 ユウは腕を掴んだ。


 ビリッ。


 深い接触。


 無理やり、潜り込む。


「強制解析、開始」


 スライムが叫ぶ。


「危険域突破!」


「いい!」


 ユウは歯を食いしばる。


 情報がないなら——


 作る。


 こじ開ける。


 構造を“捏造”してでも、理解する。


 白い光が弾ける。


 視界が歪む。


 だが——


 見えた。


 わずかな“核”。


 完全な無ではない。


 ルールの中心。


「……これか」


 掴む。


 引きずる。


 剥がす。


 ――《制限干渉》仮解析


「成功率、低」


 スライムが警告する。


「安定しない」


「十分だ」


 ユウの体が、軽くなる。


 さっきまでの制限が、わずかに緩む。


「……抵抗、確認」


 管理者の声が初めて揺れる。


「面白いな」


 ユウは笑う。


「効いてる」


「排除レベル、上昇」


 管理者の周囲の空間が歪む。


 圧が増す。


「次は本気か」


「肯定」


 短い返答。


 ユウは構える。


 スライムが静かに言う。


「勝率、低」


「知ってる」


「撤退を推奨」


「却下」


 即答。


「なんでだ」


 スライムが問う。


 ユウは笑った。


「決まってるだろ」


 目の前の存在を見る。


 白い“管理者”。


 この世界のルールそのもの。


「一番、うまそうだからだ」


 静かな狂気。


 次の瞬間。


 両者が同時に動いた。


 世界の“ルール”と——


 それを奪う男。


 戦いは、次の次元へと突入する。

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