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理想的な復活劇
わたしはひとつのトラウマによって人前でピアノが引けなくなった。
そんな日から数年。それはとある日、空の青いなんでもない日常。
でも、初めましての新入部員になるかもしれない子が見学に来た日。
怖かった、苦しかった、恐怖からか体が震えた。
その子がいて、期待してくれる仲間がいて、2人目の大切な教え子がいて、情けないところは見せれないとトラウマを隠しひとつの曲を精一杯本気で演奏する。
演奏後、いつものカーテシーとその終わり際に注目しないと分からないような静かなピースを。小さなスタジオに観客は6人。拍手と歓声の音は当時よりも少なく小さいながらもどんな会場よりも大きく聞こえた。
1度限りの演奏にするはずだった。
二度と人前で弾く気はなかった。
でも、また弾いてもいいのではないかと思えた。
そんな小さな出来事によってまたわたしはピアノ弾きに戻った。
こんな理想的な復活劇がこの世にあれば。わたしはまた羽ばたけたのだろうか。昔みたいになれたのだろうか。期待と歓声に押しつぶされることなく自由に空を飛べる日が来たらと常思う。
ここまで読んで頂き誠にありがとうございます。
次話もよろしくお願いします。




