表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甘味戦線 -SWEET FRONT-  作者: トシユキ
抵抗の狼煙
98/133

第100話 「天翔部隊発令 — 出撃前夜」

昭和20年(1945年)4月3日午後 呉軍港・連合艦隊司令部地下会議室


重苦しい静寂の中、会議室に並ぶ幕僚たちの視線が一点に集まっていた。


作戦参謀が、静かに編成命令文を読み上げ始めた。


「沖縄方面反撃水上部隊 出撃計画」


──通称「天翔部隊」──


第一戦隊(主力戦艦群)


戦艦 大和(旗艦)


戦艦 長門


戦艦 榛名


第二機動戦隊(空母群)


軽空母 龍鳳


軽空母 隼鷹


軽空母 飛鷹


第三巡洋戦隊


重巡洋艦 利根


重巡洋艦 筑摩


軽巡洋艦 矢矧


軽巡洋艦 大淀


第四駆逐戦隊(直衛群)


駆逐艦 秋月・冬月・涼月・宵月・初月・霜月


駆逐艦 磯風・浜風・雪風・霞・陽炎・不知火


艦載航空隊配備


本作戦において空母搭載機はすべて直掩戦闘機のみとする


配備機種:零式艦上戦闘機 五二型、局地戦闘機 紫電二一型(使用可能分)


攻撃機・雷撃機は一切搭載せず。支援攻撃機は全て陸上より運用に固定する。


指揮系統


天翔部隊総司令官:伊藤整一中将(大和座乗)


航空運用総監督:草鹿龍之介中将(機動部隊同行旗艦:龍鳳予定)


連合艦隊統括司令長官:小沢治三郎中将(呉在地統括)


作戦目的:


沖縄方面展開中の米艦隊打撃群に対する水上艦隊集中打撃


菊水作戦参加航空攻撃と連携し、敵艦隊戦力の段階的削減を図る


出撃予定時刻:


昭和20年4月6日夜間 呉軍港出撃


読み上げが終わった。

場内に重い沈黙が流れる。


草鹿龍之介が静かに口を開いた。


「──航空機はただ護るためにのみ飛ばす。攻撃は水上砲雷戦に全てを託す。」


伊藤整一中将はゆっくりと頷いた。


「……敵艦隊に肉薄し、砲雷戦の間合いに持ち込む。これが本作戦の核心である。」


「各員、準備を整えよ。」


静かな決意だけが、会議室に満ちていた。


同刻・呉軍港上空


整然と並ぶ巨艦群が、夕暮れの薄紅に染まり始めていた。

天翔部隊は、今まさに静かに出撃の刻を待っていた。


この艦隊出撃の行く先に何が待ち受けるのか、運命の歯車は確実に回り始めている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ