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甘味戦線 -SWEET FRONT-  作者: トシユキ
違和の夜明け
46/133

第46話「名古屋空襲速報 東京軍司令部」

1945年3月12日 午前2時――

東京・市ヶ谷 大本営防空総本部 作戦室


深夜の作戦室。次々と無電報告が積み上がる。

緊急通信士が各方面隊から届く電報を読み上げていた。


「名古屋防空司令部より戦果報告――」


「撃墜確認、現認15機以上!」


「高射砲、機関銃射撃ともに戦果多数!」


陸軍防空参謀・高橋中佐が眉をひそめる。


「撃墜数……昨日の帝都防空に比して倍増しているな。」


副官が続ける。


「敵は高度を大幅に下げました。最低侵入高度、約1300〜1500メートルとのことです。」


海軍幕僚が苦々しく唸る。


「そこまで降りて投弾継続とは、常軌を逸している。」


高橋中佐は無言で報告書をめくり、静かに尋ねた。


「それで――被害は?」


通信士が答える。


「市街延焼報告――小規模出火に留まります。民間負傷は墜落機による直接被害の他、自軍高射砲・機銃弾片の落下に伴う流血者が多発しております。」


参謀たちは互いに顔を見合わせた。


「……また、だ。」


「昨日の東京と同様だな。」


「投弾規模は甚大、だが焼失も爆裂もない……」


高橋中佐が進言する。


「閣下、現地確認が急務にございます。直ちに航空偵察を派遣させては。」


参謀長・柴山少将は重々しく頷く。


「うむ。陸軍航空偵察隊を即時発進せよ。」


「はっ!」


柴山少将はしばし黙考したのち、静かに周囲に問いかけた。


「――落下物は……昨日と同様か?」


誰も即答できぬまま、作戦室に再び奇妙な静寂が広がった。

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