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甘味戦線 -SWEET FRONT-  作者: トシユキ
違和の夜明け
39/133

第39話「爆撃開始」

1945年3月12日 午前0時過ぎ――

名古屋市上空 5,000フィート


編隊先頭のB-29爆撃機の中、爆撃手マーフィー軍曹は照準器に顔を近づけていた。

激しい高射砲弾の爆煙が、時おり機体の左右をかすめていく。


「……高度安定、速度安定。」


機長が短く確認する。


「投弾準備完了。」


マーフィーは無線に向かい、緊張を隠さず告げた。


「目標視認。市街中心部侵入開始。」


照準器の中に名古屋城の黒いシルエットが浮かび上がる。

市街地の広がりが、暗闇の中に鈍く見え始めていた。


「目標照準固定。」


爆撃機内に静寂が満ちる。

爆撃手の一声を全員が待っていた。


「投弾区間、進入!」


爆弾倉のハッチが開く重低音が響く。


機長が短く命じた。


「投下――行け!」


マーフィーは冷たい汗を感じながら、投下スイッチを押し込んだ。


ガシュッ――


爆弾倉から次々に焼夷弾束が投下されていく。


同時刻、編隊各機でも続々と投弾が開始されていく。


「フォロワー機、全機投弾開始!」


「投下完了まで約20秒!」


「高射砲、右舷近接!」


機内の緊張は極限に達していた。

だが今は爆弾を落とすしかなかった。


マーフィーは歯を食いしばる。


《今度は燃えるはずだ……今度こそ……》


暗闇の下へと吸い込まれていく焼夷弾の束。

その行方を、誰もまだ見届けることはできなかった――

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