第133話「 日本艦隊弾着」
昭和20年4月6日 午後2時43分
沖縄沖・米第34任務部隊旗艦 戦艦マサチューセッツ艦橋
「命中弾あり!」
観測員が叫んだ。
前方、激しい砲煙の合間から日本戦艦群が姿を現し続けている。
「長門型戦艦、左舷中央部に命中確認!」
双眼鏡を覗き込んでいた副官マクリー少佐が息を呑んだ。
「……砲座ごと吹き飛んだように見えます、提督!」
砲弾の衝撃で、長門左舷の高角砲座が豪快に粉砕され、白煙と破片が宙を舞っていた。
だが――船体はなおも速度を維持していた。
「長門型の装甲は我々と同様だ、まずは1弾、そうやすやすとは撃沈には至らずか……だが命中は有効だ。斉射急げ!」
ウィリス・リー提督が低く呟く。
その直後――
「敵大和型、第三斉射発射!」
測距員が警報を上げた。
「弾ちゃーく来ます!」
金切り音と共に、巨大な砲弾宙を舞う。
米軍は2列縦陣、前方視界の右舷寄りに布陣していた戦艦インディアナに、巨大な弾道が襲いかかっていた。
ズバァァァァァン――!!
「インディアナに命中弾!!」
インディアナの後部甲板付近に、巨大な水柱が立ち上がる直前、重厚な衝撃音と共に装甲板がえぐられた。
続けざまに第二弾も命中。
「二弾命中! 後部甲板直撃!あっ…爆発しました!」
「インディアナより緊急!!火災発生! 機関区損傷、速力維持できません!」
衝撃によりインディアナの艦全体が巨大な波を受けたかのように大きく揺れ、煙が艦尾から高く噴き上がる。
火災制御班が一斉に走り出す。
「推進機故障! 行き足低下止まりません!」
機関科から絶叫が飛ぶ。
インディアナは急停止したかのように右舷側へと傾く。
マサチューセッツ艦橋では即座にリー提督が判断を下した。
「インディアナは駄目だ。あれでは止まるぞ!!」
「そのまま射線軸から退避させろ! 砲撃線上から外せ!」
「アラバマを前に押し出せ!」
「距離そのまま、距離20000で一斉に左舷へ回頭、敵の行き足を止めるぞ!」
旗通信が直ちにインディアナへ信号を送る。
「航法班、回頭20度! 被害艦支援に駆逐群を急行させろ!」
副官マクリーが息を呑む。
「提督……これが大和型の威力ですか、当たると被害甚大ですな。」
リーは険しい顔で言った。
「確かに――化け物だ。だがまだ戦闘は終わらん。」
「各艦、射撃継続! 長門、大和に交互集中砲火!金剛型は狙わず、2艦に注力せよ!」
その間にも、米戦艦群は冷徹に砲撃を続けていた。
ズオオオオオォン――!!
両軍が傷を負い始め、ますます激化し続けていくのだった。




