「永遠に共に」
奴隷国家「モンキヌウス」では、絶対的独裁者の悪王「プチン」が
世界中の奴隷を集めて、最低賃金以下の人権を無視した労働をさせ、栄華を極めた。
奴隷のひとり「ヒデモト」は悪王「プチン」に気に入られ、王国の雑用係になった。
最低限の生活は保障されていたが、ヒデモトの母親「コウユ」は奴隷市場に出されていた。
ヒデモトは雑用の仕事の帰りに、奴隷市場で誰かに買われてしまうかもしれない母親「コウユ」
が心配になり、見に行った。
しかし、奴隷市場に入ることは禁止されていて、入ればプチンの怒りを買うことは必然だった。
だが、今生の別れになるかもしれない母親を見捨てられず、奴隷市場に行った。
奴隷市場では、母親が首輪と手錠をされ、競りに出されていた。
ヒデモトは売り出されている母親を見て、泣いた。
自分はプチンに気に入られ、雑用係として、普通の暮らしができているのに、実の母親が
こんな不幸な目にあっている。
「おかあさーん!!!」
ヒデモトは叫んで、人混みをかき分けて、母親のすぐ目の前まで来た。
「僕も一緒に奴隷としてお供します!母親がこんな目に遭っているのに、のうのうとその元凶である
プチンの膝元で暮らしたくありません!」
ヒデモトは奴隷商人に交渉して、自分も母親と買われることになった。
しかし、たまたま悪王プチンはヒデモトの行動を知り、兵を寄こして、二人を捕らえた。
悪王プチンは二人を拷問したあと、質問した。
「奴隷市場で母親を見捨てられずに、一緒に奴隷になり、逃げだそうとしたのは許せぬ!よって、
母親とヒデモトどちらかを処刑する」
「わたしを!わたしを処刑してください!まだ、ヒデモトは30歳です!まだ、これから長い
人生があります!お願いします!ヒデモトを助けてください!」
「お母さん!ありがとう!でも、僕が死ぬよ!お母さんには生きていてほしいんだ!」
「そんなのはダメよ!母が子を失う気持ちは死に勝る苦しみなの!あなたが生き抜いて!」
ヒデモトは言い返す言葉がなかった。
「では、母親を処刑しろ!ヒデモトは情けにより、無罪とする!」
銃を持った兵士が母親をひざまずかせた!
その瞬間、ヒデモトは母親と共にすぐそばの崖下の海へと飛び込んだ!
二人が崖から飛び降りた時に、兵士があわてて発砲して、それがヒデモトの上半身を射抜いた。
海で沈んでゆく二人。
海中で瀕死になったヒデモトは母親を抱きしめ、力尽きて、二人はそのまま沈んでいった。
ヒデモトは母親を見捨てるくらいなら、一緒に死にたいという覚悟でいた。
一緒に運命を共にしたい!
それがヒデモトの最大の願いであった。
そして、それは達成された。
「母親を見捨てるくらいなら、死んだほうがマシだ!」
それは、常々、ヒデモトが口にしていた言葉だった!
いつまでもそばにいたい!
いつまでも一緒の道を歩みたい!
悲劇な運命にも強烈な信念がそこにはあった。